神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

転生編

第1話 気が付けば………

「ここは、一体どこなんだ?」


 気が付くと俺は全く知らない場所にいて困惑してしまう。


「確か今日は成人式で、終わってから皆で飲みに行って……」


 俺、不知火蒼夜は今日の出来事を振り返ってみた。


 そうだ確か高校の時の友達と大学の友達と皆で飲みに行ったんだ。

 そしてその後は確か……うん、思い出せん。

 でも確か家に帰って来たのだけは覚えてるんだよな。


「って事は帰ってきてそのまま寝て夢ってところか」


 夢っぽくない夢ではあるんだけどそれ以外に説明つかないしな。

 ん? ……向こうから誰か来るな…あれは、人か?


「ここにおったか。そんなに探さずに済んで良かったわ」


 探してた? 俺を? この人一体誰なんだ?


「ふむ、まぁ色々疑問に思ってるじゃろうが先ずはわしに着いてきて貰えんかのぅ」


「いや、知らない人についてっちゃダメって言う、ジィちゃんの遺言があるので」


 流石に夢の中でも名乗りもしない知らない人にはついていけんわ。


「なんじゃ? 名乗ったらついてくるのか?」


 あれ? なんで思ったことがわかるんだ?


「そりゃ、ここはそういう所じゃからのぅ」


 マジか……迂闊に何も考えられんじゃないか!


「まぁ、そういう事じゃ。では名乗るとしようかの。わしは創世神ジェネスじゃ」


 俺を迎えに来た老人はまさかの神様でした。


「では名乗りもしたし、行こうか。不知火蒼夜君」


 あれ? 何で俺の名前知ってるんだ? と言うかさっきから疑問ばかりだな俺……。


「ふむ。その疑問はもっともじゃな。まぁついてくれば、その疑問にも此処が何処かも全て答えられるでの」


 是非も無しか………。


「わかりました。色々聞きたい事もあるので、説明して下さい」


「うむ。では皆待っておるし、行くかの」


 創世神?様――神様らしいので一応様つけとこ――が手を振ると、霧?っぽいのが晴れていき、中央が空いた円卓に11人の人が座っていた。

 椅子は13脚あるので自分と創世神様の席なんだろうな。



 ん?空いた円卓の中央に誰かが…………え!? 何でモザイクかかってんの!?

 ちょ!? モザイク案件の物体Xが説明に必要なの!? って……ぎゃー!! 赤いモザイクがモゾモゾ蠢いてるー!!

 そんな心境を知ってるのか知らないのかはわからんが、創世神様が席に着き、自分にも座る様に勧めてきた。


「さぁ、席に着き給え。そこのモザイクのカスも含めて、全て説明してやるから」


 1人の女性――この場合は女神様かな――が席に座れと言うので、モザイクがスゲー気にはなるんだが、とりあえず座って説明して貰おう。


「先ずは私の自己紹介だな。私は戦神メナト。そこのモザイクは死神の眷属で、武神、死神、破壊神、魔法神と共に、そこのバカをモザイクに変えた1人だ」


 サラッと超怖い事言いましたよ、この!!

 超怖いけど、名乗られたら名乗り返すのが礼儀だよな。


「初めまして。不知火蒼夜です。えーと……戦神様は何故この人? をモザイク案件に?」


「メナトで良いよ、不知火蒼夜君。さて、もっともな疑問だな。では、その質問に答える前に、やらなければいけない事がある」


「そのやらなければいけない事とは?」


「死神!!」


 戦神に名前を呼ばれて、別の女神さまが挨拶をしてくれたが……。


「初めまして、不知火蒼夜さん。死神シーエンと言います。そして、この度は誠に申し訳ありませんでした」


 事情も分からぬまま、いきなり死神様に謝罪されました。

 俺は何故いきなり謝られたのだろうか?

 訳がわからなく困惑している中、創世神様が事情を説明してくれた。


「先ずは順を追って話をしようかの。不知火蒼夜君「フルネームじゃなく、普通に呼んでいただいて構いませんよ」そうか……なら蒼夜君と呼ぼうか」


「では改めて……。蒼夜君、実はな……君はそこのモザイクのミスで死んでしまったんじゃ」


「はい?」


 死んだ? 俺が? いやいや、待て待て、何の冗談だ? あれか? 海外の番組なんかでやってる素人へのドッキリ番組か?

 いや、俺の住んでる国だと法律とかが大変なはずだから……クリアすればあり得るのか?


「やはり大分混乱して、直ぐには受け入れられんみたいじゃの」


「ジェネス様。ミスの内容については管理者でもある私が説明致します」


「では、任せるぞい」


「はい。先ずそこのクソバカモザイクですが、本来刈り取るべき者とは違う者の命を刈り取ってしまったのが、今回の謝罪の内容です」


「じゃあ、本来の俺は、死ぬことは無かったと?」


「仰る通りです。詳しく説明致しますと、蒼夜君の住んでる家の真上のご老人が刈り取る対象でした。何故このようなミスが起きたのかと言いますと、苗字の読みが同じシラヌイである事と、階層を間違えて、本来亡くなるはずの方の死因が若い方にも起きる内容でした。まぁ、それでも、本来は年齢差があって間違えないのですが、このクソバカモザイクが本来なら刈り取る前に、情報を確認してから行う作業を、やらなかったのが大きな原因です」


 死神様は説明をしてくれたのだが、その時のモザイクを見る死神様の目が超恐ろしかったのは言うまでも無い事だろう。


「ですが、このクソバカモザイクの最上位神は私、死神シーエンですので、今回の件は私の責任です。誠に申し訳ありませんでした」


 そう言って死神様は深々と頭を下げた。

 目にうっすらと涙が浮かんでいる。

 うん……これ超罰当たりじゃね? 神様に謝罪させて頭下げさせるって、俺とんでもない外道じゃねぇか!

 これはアカン……とりあえず頭を上げてもらわないと………。


「事情は分かりましたので、頭を上げてください」


「ですが………」


「事情は分かりましたし、謝罪も受け取りましたから。とにかく頭を上げてください」


 いくら信心深くない俺でもこれは………な。


「とりあえずミス……と言うか、手抜きした人? には、罰を与えたのでしょう? とりあえずはそこまでにしときましょう」


 そういうと戦神様ともう一人の女神さまが俺の元に来て……何で釘バット手渡せられたんだ?


「蒼夜も理不尽な死で、内心は怒っているだろう? さぁ! 遠慮なく、そこのクソモザイクを好きなだけ殴ると良い」


 戦神様とは違う女神様がとんでもない事を言い出したー!!


「えーと……あなたは?」


「おっと、名乗って無かったな。俺は武神セブリーだ。そこのをモザイクに変えた1人だ」


 はいモザイク案件の方がまた来ましたー! これ以上やったらミスした?––もうめんどいからモザイクさんで通そう––が死んでしまうのでは?


「心配しなくても良いぞ。神の肉体は合って無いようなものだからな。強いて上げるなら、何処の何とは言えないが、まぁ核をやられん限りはいつか復活するのさ」


「そうは言いますが、流石に死神様から謝罪を受けて、更に釘バットで殴るのは、死神様の立場も無いのではと……」


 そう言うと、神様達はきょとんとした顔になった。

 そして口々に「面白い子じゃのぅ」や「普通は怒るのにな」等言っていた。

 死神様だけは何故か顔が少し赤った気がするんだが気のせいだろう……。


「ほっほっほ。これは1本取られたのぅ。皆もどうじゃ? 蒼夜君にあの件を任せても良いと思うのじゃが?」


「「「「「「「「「「「「異議なし!」」」」」」」」」」」」





 俺の知らない間に、何か決まってしまったっぽい………。

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