三英傑物語〜異世界歴程〜

甘蜘蛛

プロローグ

 自分じぶんたちはいつも面倒事めんどうごとかないと自負じふしているつもりだ。だがそれもひとよりおおいだけで、普通ふつうのことなんだとながしてきた。

 たったいま、これまでそんなふうかんがえていたことがあやまりだったのだと、自分じぶん理解りかいえたかたちった。

 具体的ぐたいてきえば———————


「ゼェー…ゼェー…ゼェ……」


 まえにいる中世風ちゅうせいふうのドレスをた、地面じめんいつくばっている可憐かれん女性じょせいがいる。どうても日本人的にほんじんてき特徴とくちょうはない。

 とても奇妙きみょう状況じょうきょうだ。先程さきほどまで友人ゆうじんたちと山中さんちゅうにいて木々きぎかこまれていたはずなのに、いま神殿しんでんのような構造こうぞう建物たてものなかにいる。

 

「もうすこしだけ……もうすこしだけ……」


 この不思議ふしぎ現象げんしょうに、ただただ困惑こんわくすることしかできなかった。

 となりにいる友人ゆうじん二人ふたりも、そして注意喚起ちゅういかんきしに警備員けいびいんひと困惑こんわくしていた。


「ハァ……ハァ……ハァ……」


 だが警備員けいびいんひとはともかく、自分じぶん二人ふたり友人ゆうじんはそれとなく現在げんざい状況じょうきょう心当こころあたりがないわけではなかった。

 警備員けいびいんひと注意喚起ちゅういかんきるまでに経験けいけんした、不可思議ふかしぎ出来事できごとらしわせるとなんとなく想像そうぞうできる。


「スゥー……ハァー……」


 だが実際じっさいにそんなことあるのだろうか?自分じぶんたちがぱらっているせいじゃないのか?


「………フゥーー……」


 先程さきほどまでやつれていた女性じょせい完全かんぜんきをもどし、そして困惑こんわくしている自分じぶんたちのほうつめてきた。


「おたせしてしまい、もうわけございません」


 四人よにんともかたけてくる女性じょせい注視ちゅうしする。

 女性じょせい微笑ほほえみをかべながら、さらにうやうやしく言葉ことばつづける。


召喚しょうかんおうじていただき、ありがとうございます。


「「「「……………………」」」」


 錯乱さくらんしたあたま唯一ゆいいつわかったことといえば、自分じぶんたちが面倒事めんどうごとまれる天性てんせい問題児もんだいじということだけだった。










 

 

 






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