愛し子様は自由に冒険したい!
深雪
プロローグ
「旅に出たい。」
僕の主人の口癖だ。何か嫌なことがあれば旅に出たいと駄々をこねる。先程の会議で何か言われたのだろう。今はすごく機嫌が悪い。
「なら、王位継承権の破棄をオススメするよ。」
この国では全ての王子、王女に王位継承権を与えられる。もちろん条件はあるが。
「今ここで辞めてしまうと僕の努力が塵と化すから絶対にできない。即位式って何年後だっけ。」
「来年だよ。ほら紅茶淹れておいたから一息ついて。僕が報告書の処理を行うから君は少し休んだ方がいい。」
「すまない、シュテール。」
執務室の背もたれ付きの椅子に深く座り目を片手で覆いながら動かなくなる。きっと寝たのだろう。紅茶は飲んでほしかった。
音を立てないようにそっと廊下に出て浮遊魔法が得意な"研究員“を連れてきてクレアを自室へ運んでもらう。
「始めますか。」
執務室の執事専用席にクレアの机に置いてあった報告書を全て移動させて仕事を始める。
彼が起きるまでに全て済ませよう。
▽▽▽
この世界は神に加護よりも強い寵愛を、困難よりも苦しい苦難を与えられた子どもが存在する。その子どもを人は"愛し子“と呼ぶ。
そして、この国――ツヴァイ連邦国家グランツ――の第6王子クレアシオン・コンラート・アルトゥル・ルメルシエ
その執事であるシュテール・コンラート・アルトゥル・ルメルシエも愛し子であった。
クレアはこの世界を創造した創造神ラーステットの愛し子であり、シュテールは創造神とは対の存在である破壊神の愛し子である。
クレアは国の外に出て自由に生きることを求め、シュテールはそんな彼に執事兼幼馴染としてずっとついて行くことを求めて様々な苦難を乗りこえていく。
この物語はそんな2人の旅物語である。
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