スターローリングサバク

@dantuzidou

第1話 砂漠にて一人

サバクが一面晴れ渡る

雲一つない青空

オアシスすら全く見えないのに

青空には町の蜃気楼が見えている


汗だくの顔で舌を出してぜーぜー息をしているのは

弱っていますアピールではあるが

見せる相手がいないのではあまり意味がない

すでに癖になっているそれは

私の弱弱しい生命力とは裏腹に

図太い神経を表しているのだろう


かつて地球といわれたこの星で

私はある任務についている

地球が青かったのはもはや過去の話

今では海一つない砂漠の星となっている


かつて地球に住んでいた人類も

今は遠く離れた星で地球にいたころと同じように過ごしている

すでに用済みとなっているこの星の

継続観察が私の仕事だ

ワープ装置が発明された今

公務員の日給の仕事である


こんな仕事ロボットにでもやらせればいいのに

以前ロボット労働組合から

ストライキが起こって以来

ロボットに対して厳しい労働条件が提示されており

今では人間のほうがロボットより厳しい仕事につかせやすい

本末転倒のような話ではある

がしかし働きたい私としては好都合ではあった

ロボットは自分で自分の首を絞めていることに

気づいていないのだろうか


しかし不毛な仕事であると思う

なぜこんな過去の星に派遣が必要なのか

上官は言った「古きを温め新しきを知る」

どういう意味だ?


この仕事にやりがいを感じない私はテントを張り

日陰を作って休んでいた

ワープ装置は利用するのにお金がかかる


一呼吸置いたときそういえば前任の担当者が

妙なことを言っていたことを思い出した

「夜のクジラは美しい」


ぼそっと言われたそのメッセージだけが

私を少しわくわくさせてくれた


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