第10話 脱走当日



 ルギーという協力者を得た僕は、脱走の計画をさらに細かく練った。

 見落としている点も補強して、情報をもとにより安全なルートを割り出していく。


 そして、計画当日。


 兵士の服を拝借して変装した僕は、脱走。


 兵舎3号棟に行って、なずなと合流したあと、施設の外へ出る。


 この国には隣りあっている国がいくつかあるけど、山を超えたシルキーウェイという国がどことも戦争していないので、比較的安全らしい。


 僕は、なずなの手を引きながら協力してくれたルギーにお礼を言う。


「一応例を言っておくよ。ありがとう。でもこんな事して平気?」

「まあ、それなりに器用に生きてきたので大丈夫でしょう。気にすることはありませんよ」

「気にするっつーの」


 背中を向けて歩き出す。

 戦略兵器級の力を秘めてしまった僕達の旅路は、決して優しいものにはならないだろう。


 散々なにあったこの国だけど。


 希望がない世界ってわけじゃないのが、まだ救いだ。


「元気でね」

「そちらこそ」


 僕達は、明日も知れない中、長い旅路を進みだした。


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薔薇姫の再臨 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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