第2話 咲護



 美しい薔薇にはとげがある。

 

 小さいころ僕は、目立つ赤毛もあって薔薇から生まれたようだと言われた。


 けど、僕の性別は男なんだから、そうやって女顔でよくからかわれるのが嫌だった。


 だから、「女の子みたい」なんて言われるたびにかみついていって、とげが生えていったのだろう。


 僕は昔から、そうだ。


 まるで女の子みたい。だったらなに?

 こんなやりとりが日常茶飯事。


 それで女の子が嫌いになるわけでもなかったけど、自分の容姿は嫌になった。


 そんな事がよくあったせいなのか、男に交じっていても女にまじっていても、疎外感がある。


 自分っていったい何だろうね。


 けれど、そんな僕にも気安くつきあえる友達がいたんだ。


 名前はなずな。


 背が低いけど、意志の強い女の子だ。


 なずなは人の世話を焼くのがすきで、優しい。


 踏み込まず、離れすぎもせず。

 適度な距離感をもって、接してくれる。


 僕はそれがここちよかった。


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