運命の人はおじさん

第1話 40歳の生活

諦めるのは得意だが、恋人を作るのはなかなか諦められなかった。

いつかは運命の人に出会えると、どんなに失恋してもどこかで希望を持ち続けていた。しかし最近恋人ができる自信がなくなってきた。

ここ一、二年の休日は午前中、掃除機や洗濯機を動かし、午後は近所のドトールコーヒーでお昼ご飯代わりにチーズケーキと熱い珈琲を頼む。

たいていそこで日経新聞と時代小説の文庫本を読んで2時間くらい過ごす。

それから激安が売りのスーパーマーケットに寄り、お惣菜やお刺身、ビール、翌朝食べるクロワッサンを買って、いつも15時くらいに自宅に戻る。決まって1時間ほどうとうと昼寝をし、起きたら洗濯物を取り込み、たたみ、そろそろ晩酌でも始めるのがお決まりの過ごし方。

仕事はシフト制で休日は不定。平日一日と、土日のどちらか一日が休みになることが多い。月8日間の休みはさっきの通り過ごすことがほとんどで、たまに隣町の神社まで散歩することがあるくらいだ。

こんな40歳男の生活には、出会いはなかなかないと、諦めようとしている。