旅に一緒に連れてって!
くまくま
第1話 京都へLet`s Go!
気がついたら春休みももうすぐ終わり。
窓の外からは桜の花びらがひらひらと舞っているのが見える。
「まもなく、大阪、大阪です」
と自動放送の女の人の声が聞こえる。
ドアが開くと僕は外にポンと飛び出した。
やはりまだ春休みなので通勤ラッシュほどではないが人がたくさんいる。
「次の電車まで7分か」
そう僕はつぶやく。
僕は、豊田優斗(とよだゆうと)小学五年生。
今日はここ大阪府から、住んでいる千葉県まで帰る予定だ。
ピロピロピロ♪とスマホが鳴った。
「ねぇ、優斗ー。メール来てるよ。」
「分かってるって。」
こいつは幼馴染の伊藤加奈(いとうかな)同じく同級生だ。
ベージュのショートカットヘアで眼鏡をかけている、市内トップクラスの天才少女だ。
そして僕はスマホを開いてメールを確認した。
「加奈、今から阪急線に乗りに行くぞ」
と僕は加奈に呼びかける感じに言うと。
「だったら今10時22分だから、10時32分の快速特急Aに乗ったほうが早いよ。」
快速特急A?そんなの阪急にあったっけ?
とりあえず加奈の言う通りにしよう。
僕達は少し急ぎ足で大阪梅田駅の改札まで向かい、時計をみると10時29分をさしていた。
「優斗、あと3分だから少し急いで!」
と加奈は少し焦った様な口調で言った。
そして改札機を抜けて発車票で番線を確認し、止まっていた快速特急A京都河原町行きの6300系に乗りこんだ。
車内の中は、有料特急の様な座席の列になっていて転換クロスシートだ。
転換クロスシートとは、背もたれを前後に動かすことで着席方向を変えられるシートのことを指すんだ。
僕達は車内を歩いて先頭車両まで歩き、僕は窓側に座り、加奈は通路側に座ることにする。
電車が動き始めたら加奈が黄緑色のシートを触り始めた。
「やっぱこのシートはふかふかしていいねー」
「これが無料で乗れるって、本当に阪急ってサービスがいいよね!」
と僕が微笑みながら言った。
そして通過駅の十三(じゅうそう)駅が見えたその時、電車はスーっと駅に止まってしまった。
「あれ?十三って通過駅じゃなかったっけ!?」
と僕が驚いて答えると。
「この駅は通過駅だけどあくまでも運転停車だから乗客の乗り降りはできないってこと」
と加奈が優しく丁寧に説明をしてくれた。
淡路駅に停車に停車し、次の桂駅に向う途中の高槻市駅を通過してしばらくした時、僕は窓をコンコンと叩いて加奈の注意を引いた。
進行方向右側から、立派な高架橋が近くまでより、なんと並走し始めた!
「これがかの有名な新幹線との並走区間か! 一度、実際に見てみたかったんだよね〜」
すると加奈は不思議そうにこちらを見つめる。
「有名?新幹線の高架橋が?」
「そうだよ、なんと言っても新幹線の高架橋なのに、一番最初に走った営業列車がこの阪急京都線なんだ!」
僕がこの列車を指で指しながら言うと案の定、加奈は目を丸くした。
僕も始めてこの事を知ったときは目が飛び出るかと思ったよ。
「この付近は地盤が弱いから、新幹線と立体交差にすると、重い鉄筋コンクリートの高架橋を建設しないといけないくて、その重みで阪急の路盤が沈むおそれがあったからなんだ」
「それとこれで何の関係があるの?」
「それで、阪急と新幹線のどちらも高架化する際に、まず新幹線のほうから作り始めて、完成したら阪急の高架化を行ったんだ。その時に、阪急は新幹線の線路を借りて営業運転を行っていたっこと。ラッキーなことに、新幹線と阪急の線路の幅はどちらも標準軌(1435mm)だったから出来た事なんだ!」
「そんな事情があったんだ。私もまだまだ知らない事が沢山あるね!」
加奈が感激したその瞬間、隣に並走している高架橋の上を新幹線がものすごいスピードでこの電車を追い越した。
電車は、桂、烏丸という順で停車し、終点京都河原町には11時15分に到着した。
京都河原町駅は1面3線のホームを有する地下駅で、京都市の繁華街である四条河原町の中心にあるんだ。
電車を降りる前に少しだけ他の号車を見てみることにした。
「この号車は和風をイメージしているから、次回はこっちの号車にも乗ってみようよ」
加奈はすっかり阪急を見る目が変わったみたい。
僕ももっと詳しく阪急について調べてみようかな。
改札を抜け、出口に続く階段を上がるとたくさんの観光客が居た。
次回へ続く...
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