いつか、また。

天密

プロローグ

「孝幸。誕生日おめでとう。」

「ありがと。」

「いやぁ、大きくなったね。」

「おかげさまでな。」

パルトネルは孝幸の頭をくしゃくしゃと撫でる。孝幸は少し照れ臭そうにしながら笑った。

「こりゃあ幸也も喜ぶよ。」

パルトネルがそう言うと、孝幸は急に深刻そうな顔になる。

「なぁパルトネル。俺はもう二十歳になった。」

「うん。そうだね。本当に大きくなったよ」

「俺は顔つきも変わったし、身長も伸びた。なのにアンタは何も変わっていない。」

「うん。そうだね。」

パルトネルは笑顔を絶やさない。孝幸がさらに続ける。

「アンタ、五年前に言ったよな?俺の二十歳の誕生日、アンタの昔の話をするって。それが今日だ。教えてくれ。アンタは一体何者なんだ?」

ついに、パルトネルから笑顔が消えた。

「、、、そう、もうそんな年なんだ。もう子供じゃないんだね。わかったよ。」

そして孝幸と向き合って言った。

「この話はね、、、そう。孝幸のご先祖様と、僕の話。」

「俺の、先祖?」

孝幸は耳を疑った。

「うん。何年前だろうね。懐かしいなぁ。あの人と約束したから、僕は君の家系の子をそだててきたんだ。」

パルトネルは語りだす。一つ一つ、記憶を思い出すように。

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いつか、また。 天密 @amamitukesin

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