三題噺 「あの子に送る」
生住 文
お題「おもち」「ヘアピン」「雷」
かねてから考えていたことを、ついに実行しようと思う。
俺には大切な女の子がいる。黒髪でショートヘアーで、いつも猫のヘアピンを付けている。
小さいころからずっと一緒にいるので彼女の好み把握している。
ちなみに好物はおもち、嫌いなものは雷だ。
ずいぶん前の話になるが、一緒に家にいるとき、近くに雷が落ちた。
その時その子は珍しく俺に抱き着いて離れなかった記憶が今でも鮮明にある。
……言っていて自分が気持ち悪いと感じてきたのでこのあたりにしておこう。
ともかく、俺は一大決心をして彼女の元へと向かうことにする。
……。
…………。
今思えばいろんなことがあったなぁ。
初めて喧嘩したこと。
初めて一緒に行った遊園地。
守ってあげていたつもりが足枷になっていたこと……。
そして今、彼女は俺の元から旅立っていこうとしている。
「お父さん、あんなに反対してたのに来てくれたんだ!!」
「ああ、なんたってお前は、俺の自慢の娘だからな」
そこは華やかな会場、そう、今日は娘の結婚式である。
俺はずっと反対していたが、娘の笑顔には勝てなかった。
それに永遠の別れではない。
娘が幸せになってくれるのなら。
それでいい。
それがいい。
三題噺 「あの子に送る」 生住 文 @ayaisumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます