6.その他(通常技)

 攻撃系、視覚系、察知系、防御系、幻覚系のいずれにも含められない能力です。


●通常技

 ・ゲート:パラリュスとミュービュリを繋ぐ通路を開く能力。ここでは「ゲート

     を開ける」能力であり、通れるかどうかはまた別です。フェルティガエ

     ではあれば誰でも使えますが、「二つの世界があることを知っているこ

     と」が前提条件となります。



~ゲートの設定について~


 ここで、ちょっとだけ裏話。

 誰もが異世界と自由に出入りできるのはつまらない、回数に制限をつけてネタに使おう(最初にやって来た敵が消滅した、とか理央が苦しそうだった、とかユウは3、4回超えたけどまだ平気、とか)ぐらいの気持ちで考えたものでした。

 要するに、フェルティガエの強さを表す一つのバロメーターとして使ったんですね。それと、朝日とユウの恋愛の障害の一つ、という意味合いもあります。


 作中の登場人物で回数ランキングをつけますと、

  1位:朝日(無制限) 2位:暁(30回程度) 3位:ユウ(10回程度)

で、そのあとは……夜斗とヒールで、5回ぐらい。理央やシャロットが3回ぐらいで、それ以外の人は1、2回が限度です。(ヨハネは限度が1回だったにも関わらず、2回目を超えたことで消滅した) 

 

 強い想いが異世界の扉を開く――それが、ゲートです。ヤハトラに来た水那、ユウと夜斗を追いかけた朝日が、この状態でした。

 自分が行ったことのある場所の場合は、確実に繋げられます(それでも器用さは要求されるため、朝日は最初はとんでもないところに繋がってしまった)。ヒールを看取ったあとミュービュリに戻って来た時のユウや、朝日を置いてユウと共にエルトラ王宮に行った時の夜斗が、この状態です。


 他のフェルティガと同様、使えば使うほど熟練度は上がり、上手になっていきますが、ゲートに関しては通れる人も限られており、なかなかそういう訳にはいかないですね。

 思う場所に自由に繋げられるのは、おそらく朝日ぐらいです。

 夢で見たドゥンケの島に繋いだように、朝日の場合は行ったことがなくてもイメージするだけで、だいたい目標地点に繋ぐことができます。


 ですが、たとえゲートを開くのに不慣れでも、「夢鏡ミラー」と合わせることで100%目標の場所に繋げることができます(実際に視ることができるため、確実にイメージできるから)。公園にやってきたシャロットが、この状態です。


 さて……この「ゲートを開く能力とゲートを通る適正は別である」というのは、後で思いついたことです。

 『漆黒の昔方むかしべ』でネイアがソータにゲートの説明をする際に、『想い紡ぐ旅人』ではどう言ってたっけな、と思って読み返しました。

 そして、実は「通れるかどうか」の話しかしていないな、と気づいたんです。


 自分で書いておいてなんですが、旅人シリーズにおいては、その設定の有効性を後から気付く事がちょこちょこありました。

 たとえば朝日の「フェルティガを無限に蓄える」は、書いた当時はあんまりそのスゴさがわかっていなかったのですが、実は究極の大器晩成型だってことに気付きました。


 つまり……個人の器の最大値が500だとして、150消費して350になったとします。その人が休むことで200回復できるとしても、その人は550になる訳ではなく500なんですよね。

 その点、朝日は上限がないからどんどん加算される訳です。一年で360倍。多少消費していたとしても、およそ普通の人の何百倍も蓄えていることになるんですよ。

 何百年もかかるはずだったジャスラの闇の浄化を、あの一回でほぼ終わらせることができたのは、朝日のブーストに他ならない訳です。


 ……あ、大幅に話が逸れてしまった。

 そんな訳で、 ゲートはこの一連の話の肝であり、『想い紡ぐ旅人』はこのゲートを超えて出会い、気持ちを育んでゆく朝日とユウを表しています。(そしてこの「旅人」からソータのイメージができたので、水那のために長い旅をするソータのことを表しているとも言えますね)



 ・掘削ホール:異なる二つの場所を繋ぐ次元の穴を開ける能力。作中にもあるように、

     異なる世界を繋ぐ、というものではなく、異なる二つの場所の距離を0

     にする、という能力です。かなりの力技なので、ゲートよりもはるかに

     多くのフェルティガを消費します。



掘削ホールとゲートの違い~


 ゲートは場所を知らなくても想いだけで繋げることが可能ですが、掘削ホールは未知の場所、人に繋ぐことはできません。

 トーマは発現時、「未だ思い出せない彼女の元へ」という想いから穴を開けたのですが、シィナの完全防御クイヴェリュンが発動したせいで弾かれ、出口を失い、その衝撃で気絶しました(そしてその時シィナのフェルティガに触れ、記憶を取り戻した)。

 目覚めたあと、「神剣みつるぎの元へ」という思いから、コレットが現れる所に出口を開けました。


 「次元の穴」の項目でも説明したようにかなり希少な能力で、大昔に偶然発現したものの、フィラの民がよその世界、場所にいく必然性がなく、ほぼ使われていませんでした。

 何回か使い手は現れましたが、異世界と繋ぐことも可能であるこの能力は忌み嫌われ、隠される傾向にあったのです。


 トーマはヒコヤの実子であること、三種の神器に触れ、伴侶の契約に関わっていること、わずかにフィラの三家の血をひいていたこと、など様々な条件が重なり合い、突発的に発現した力なので、あまり強くはありません。彼を最後に、またしばらく失われてしまうことになるでしょう。

 暁が模倣で使い続ける間に体系的に確立できれば、話は別ですが。



 ・強制執行カンイグジェ:対象者に自分の思う行動を取らせることができる能力です。幻惑に

     近いですが、幻惑は意識を変えるのに対し、こちらは相手の意思に関わ

     らず、100%思い通りに動かすことができます(それがたとえ本人の命

     を脅かすようなものでも)。かなりの大技なので、完全な形で使用でき

     る人は殆どいません。すべての能力の中で一番フェルティガを消費する

     技です。



~朝日と水那~


 どちらが強制執行カンイグジェの術者として上かというと、現時点は水那です。

 水那は保有するフェルティガの量が少ないため、大きい命令をする度に倒れてしまいますが、思い通りの命令を100%発揮することができるからです。


 朝日は最初に覚えた「寝かしつける」という命令だけは大体できるようになりましたが、それ以外は自在に発揮することはできないでいます(不器用だから)。

 訓練すれば極められるでしょうが、本人にその気はありません。


 いずれにしても、この能力を保有する人はかなり強情な人である、ということは言えるでしょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る