第2話 クララッカス

「パーティのみんなには内緒……」


 クララッカスは、そう言うと子守唄を歌い、アンソニーを眠りに就かせた。

独り言を発していたアンソニーはどこへ行ったのやら。

アンソニーは、そのクララッカスの癒し方が良かったのか、すぐに眠った。


 朝、次の戦地へ向けて旅立った。

クララッカスと朝、顔を合わせると、クララッカスは軽くウインクをした。

その仕草で恋に落ちそうになったアンソニー。

仲を深めようと、戦闘空域でも、自分の後ろ側を守らせるアンソニー。


その突然の、戦法方法変更に、同じパーティのモンスター使い、ハイジャンが口火を切った。


「なんで、今まで私があなたの後ろだったのに、クララッカスなの?」


「どうと言う意味はない! ただ、新しい戦法も必要だろ?」


 端的に答えるアンソニーに不服を申し立てたハイジャン。

納得が行かずにクララッカスとは、口も効かなくなった。

そんな仲間割れで、ピンチに陥ることがあった。

それは、先日の森林を抜けた新しいダンジョン。


ドウクーツに潜むモンスターが強く、

レベルを上げなければ、先に進めないと判断がついた。

ドウクーツ一匹目のモンスターでいきなり、パーティ全員のHPが半分になると言う窮地。


 一旦、森林に引き返し、各自それぞれHP回復と、その後レベル上げに力を注いだ。

そしてレベルも4ほど上げたある夜、各自宿に泊まっていた。

 その夜も月明かりが照らす、0時を回った頃。

一人の女性がアンソニーの部屋をノックする。

その女性こそ、クララッカス。

その夜の行為は、明け方近くまで続けられた。


また、「みんなには内緒ね?」と言って部屋を出て行くクララッカス。


 そんな戦いで、窮地に陥るとレベルを上げて、宿に泊まる。

泊まると、またクララッカスとの行為は、3ヶ月も続けられた。

そんなある日の朝、ダンジョンに向かうために、森林前での集合時間。


次の戦地、森林前に足を進めるアンソニー。

他のパーティメンバーをそこで待った。

だが、現れたのは、昨夜相手をしたクララッカス以外のメンバー。

幾ら待とうが、クララッカスは現れず、メンバーも呆れ顔だった。


 ただクララッカスが一人姿を消しただけの事件だった。

その中でも、女性モンスター使い、ハイジャンだけはアンソニーに睨みを効かせていた。

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