流行には流されていけ
また、自称〝ラノベ新人賞の下読み経験者〟がワナビを惑わす為のアカウントを発見したので、溜め息をこぼしつつこの記事を書いている。
むろん、ワナビ長くやってりゃ知り合いにデビュー作家は増えてくるよ。本当の下読み経験者も、何人もいると思う。下読み経験者を名乗るアカウントすべてが嘘だとは思わない。
知り合いに下読み経験者がいるあなたや、本物のラノベ作家に話を聞いた事があるあなたの事ではないので、まずは落ち着いてくれ。
その上で言うんだけど、下読み経験者の言う事一切聞く必要ない。
大体、彼らの言う事は一貫していて『オリジナリティのある作品を求む』に集約される。
当たり前だろう。
同じような作品、今なら多分、陰キャがYouTuberやってモテモテ系の話がめちゃくちゃ届いていると思う。
陰キャがYouTuberやる話ばかりを一人で百作、二百作と読まされたら、出てくる感想はそりゃ『オリジナリティのある作品を求む』になるに決まっている。
でも、考えてみてほしいんだけど、まず下読みさんに編集部全体の意思決定にかかわる権限はないはず。
んで、これは観測範囲内のみのデータで申し訳ないんだけど、過去の経験上、オリジナリティをあまり感じない『いわゆる〝置きにいった〟作品って結構受賞してる』んですよ。
ファンタジーラノベが売れていなかった時期、それでも自称下読みさんやら、審査員の現職のラノベ作家さんやらが口を酸っぱくしてこう言ってましたよ。
「流行りに乗らなくていい。流行りには惑わされず、自分の〝好き〟を突き詰めた作品を送ってきてください。〝好き〟の前には流行りも無力です。そういう熱い想いを感じる作品を待ってます!」
でも、ちょっと調べると分かるけど、当時のラノベの新人賞で受賞した作品、結構、当時の流行り・売れセンと呼ばれる作風のやつが多かった。
大体、流行りのど真ん中、王道の作品が最高賞を獲って、これは今の流行りからは少し外れてるなぁって作風のやつは銀賞とか期待賞とかに収まりがち。
当時は売れてなかったファンタジーもの、ほぼ受賞してない。(あるにはあるし、めちゃ売れたが)
結局、拾い上げ等の諸々を鑑み、新人が出版にまでこぎつけられる率で見たら、流行りには、素直に便乗していったほうがよさそう。
ね、大人は綺麗事を言うんですよ。
もちろん、
「最近は小説投稿サイトのランキング上位からの書籍化も多く、売れセンはサイトから採るから、新人賞で採るのはオリジナリティ重視の作品!」
みたいなことを言う下読みさんもいます。
それを聞いた俺
「なるほど、そのセンで攻めてきたか」
もうお前らの言うこと鵜呑みにはしねーからな!
【タヌキが出ます】
『桃源水滸伝』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893542939
最近、新人賞受賞者のデビュー作、軒並み低調ですわな。
昔は新人賞受賞者は三巻まで出させてもらえていたらしいけれど、今は一巻打ち切りが当たり前になって来ている。らしい。
というか、
「〝新人賞受賞〟が、小説を探すうえでの一つの指標だった時代がある」
と言った方が正しいかも。
あの編集部が受賞させたんだから面白いに違いない。とか、
今はまだ新人だが、ここから化けるかも知れない、なんて、相撲のタニマチみたいにご祝儀買いしていた人もいた、らしい。
今は、「投稿サイトで月間一位!」とか「何億PV突破!」みたいな、具体的な数字のほうが信用されている感じはある。
そして、その流れに各編集部さん達が抗おうとしているのも、傍から見ていてなんとなく感じられる。
多くの人が指摘している通り、小説投稿サイトで読まれるためには、その投稿サイト独自の文脈、というかノリを知らないとまず見向きもされない。
小説投稿サイト全体ともなると、それはもう〝内輪〟といえるほど小さな月間PVではないけど、いわゆる内輪のノリってやつだ。
某大手投稿サイトなんて、ネットミームにもあるような「君が思いついたアイデアは、先人達が思いついてもやらなかったアイデアだ!」という状況からは一歩進んでいて、「君が思いついたアイデアは、探し方が下手なだけで、必ずネタ被りの有名作がどこかにあるぞ!」状態なので、異世界とか、悪役令嬢、みたいなキーワードだけ拾って、俺も一旗揚げてやろうみたいな人は結構な確率でPVがつかず、心折れてやめていく。
異世界ジャンル一つとってもお約束がいっぱいあって、そのお約束を分かったうえで書かないとよっぽどことがない限り読者はつかない。
だからネタ被り・展開被りは日常茶飯事。
悪く言えば、どれもこれも似たような話。
結果、オリジナリティのない話ばかりになる。
カクヨムは、この内輪のノリにある程度、抗っているようにも見える。
カクヨムが立ち上げられたばかりの頃、創設の目的を語るインタビューで、『投稿サイトから流行を後追いするばかりじゃなく、自分達で流行を作っていかないといけない。いつか大手投稿サイトが廃れたり、今の流行が終息した時の為に』みたいなことを答えていたのを思い出す。
受賞作も、結構、流行とは外れた作品なんかも取っている感じがする。
でも、流行りの力ってやはり強くて。
流行りを生み出そうとするより、流行りの後追いをしている人のほうがコスパは圧倒的にいいんですよ。
世の中、時代のパイオニアより、二匹目のどじょうを狙いにいった人のほうが売れるパターンの多いこと多いこと。
何かが流行るとすぐ群がるようにわっと後追いの便乗ネタが湧きますけど、たった数日から数週間で流行りが消費される現在、そういう瞬発力重視のビルドのほうが小説界隈でも生き残りやすいのかも知れない。
現に、売れてるウェブ小説作家さん達、流行りネタは全部抑えてるもの。
連載何本も抱えているのに、なんでそのペースで新作どんどん投入できるんだ!?
って化け物うじゃうじゃいる。
小説って一年、二年、場合によっては何年も時間をかけて書くもの、ラノベのように新陳代謝の早い業界であっても、早い人で二~三か月に一本、普通は半年に一本のペースという常識で生きてきた俺、
「こんな化け物達が野心も持たず、野に潜んでいたというのか」状態。
(いや、野心はあったと思うけど)
逆に、瞬発力重視ビルドの彼ら的には、オリジナリティばかりを求められて公募では苦汁を舐めさせられてきた人も多いだろうから、今の状況は笑いが止まらないだろうなぁとは思う。
結局ね、オリジナリティなんて飾りなんですよ!
というか、危惧していることの一つに、オリジナリティってなんじゃらほいというのがある。
皆さん、軽率にオリジナリティ、オリジナリティ求めはりますけど、うまく表現できないけど『編集者が好みそうなタイプ』の作風って確実にあるよね。
・地の文のテンションが高め
・作者が自分に酔っている(これは一般社会だと罵倒に当たるかも知れませんが、創作者っていかに自分の幻覚に酔えるかみたいなところがあるので、大事な才能だと思います)
・人間でいうと芸大
みたいな。
醜い嫉妬にまみれていて、自分でも書いていて気持ちのいい話ではないので、気分を害された方には申し訳ありませんが、流行りを外れてオリジナリティを求めた結果、逆に、画一化していたりはしないのだろうかと思ってしまう。
まぁ、たとえないものでも〝ある〟と感じさせるのが小説書きには一番大事なことなんだけどさ。
そして、流行りの作風も、編集者受けしそうなオリジナリティを感じさせる作風も書けず、『どこかで見たような、だけど流行りではないジャンルで、作者は好きなんだろうけどこれといってパッと目立つところがない』作風の者、長年ワナビとして地べたをはいずりがち。
俺みたいにな!
まだまだ愚痴りたいことはあるけど、今日は終わり。
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