それでも生きていていいですか

夜月

第1話 この世界は残酷だ

この世界は残酷だ―。

それはまるで四月に雪が降るように。

鮮やかな桜に純白の雪が落ちるみたいに。

それはまるで一人の少女が泣き叫ぶみたいに。その横で誰かが愛を唄うように。

いつだってそうだ。この世界で初めて「嘘つき」と、言った人に言っておきたい。全ては君が始めたことだと。

そう-。この世界は嘘だらけ。偽りだらけ。嘘と間違いを乗り継ぎ 傷つけ 傷つけられて。繰り返す終わりのない悲しみの中 僕らは生きている。誰が正しくて 誰が偽りなのか。知らない。知らなくていい。だってそうだろう。君はこの世界で生きている。それだけ認めればいいんだ。


記憶にある。目をあけた時、そこに映るのは暗い空だった。ここがどこかも分からず ただ冷たい雨が降る夜だった。幼い私はあの時何を思っていたんだろうか。泣いていたんだろうか。叫んでいたんだろうか。愛されたかったのだろうか。分からない。分かりたくもない。どうして自分は生まれてきたんだろうか。どうして自分は人間なんだろうか。

今も探している。探しているつもりなのかもしれない。

その答えが見つかった時 私は私ではなくなるのだろうか。神様がいるなら教えて欲しい。

いや。神様なんて存在しないのだろう。


幼少期をまとめると本当に私は生きていたんだろうか。と思う。これから続く話の為に描いておきます。私には実親がいません。捨て子です。捨て子という表現が正しいのかは分かりません。要らなかったのです。私は。望まれなかったのです。ある物語では 『産まれてくる時 空から選んで産まれてくる』と。それが本当なら私はここにはいない。選べるなら。

選べないんだ。選べないから 今日もどこかでたくさんの子ども泣いている。救いもなく ただ ただ泣いている。


私は養子という形で育てられた。血の繋がってない両親の元。勿論、物心がつく前のことなので 血が繋がっていないとは知らない。知らない方が良かったのかもしれないよね。血の繋がりなんて関係ないと世の中は言う。違うよ。関係あるんだよ。だって たった一つの証拠だから。貴方たちから生まれた唯一の証だから。

私が『死にたい』という感情を持ち始めたのはじめたのは五歳くらいだと思う。きっかけは暴力だった。私はこの日から人間でいたくなくなり玩具になると決めたんです。そう。貴方たち大人の便利な道具として。

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