依頼者
なんとなく、もう大きな戦いは終わったんだと思ってた。
あとは細かい揉めごと程度で、焦らずのんびり旅していれば
この子に、出会うまでは。
「お願い、たすけて」
「ひぃいいいいぃ……ッ⁉︎ だ、誰⁉︎」
見えない誰かから耳元に話しかけられ、あたしは思わず震え上がる。
「わたし……」
「いや、やっぱ聞きたくない!」
「どっちよ」
ツッコまれた! 幽霊――と思われるけれども存在を認めたくないシースルーの何か――に!
「落ち着いてシェーナ、大丈夫だよ」
「ちょ、待てジュニパーなんでそんな落ち着いてるのお前、怖くないの⁉︎」
「ええと……ほら、ぼく魔物だし」
「だし……って、そうだけど。たしかに、そうだけど⁉︎」
そりゃ、ざっくり大きく
とりあえず、ヅカ馬ガールのフニャッとした空気で、あたしも少しは落ち着いた。明るく晴れ渡った空の下というのも大きい。逆に、あんま現実味はないけど。
「わたしは、ミュニオ。こっちがシェーナで、こっちがジュニパーなの。あなたは?」
「メルオーリオ」
「こんにちはメルオーリオ。姿は、見せられるの?」
「たぶん、いまは無理。夜になったら、少しは」
「うへぁ……ちょっ、あの、それは……」
昼間でもチョイ怖いのに、夜に耳元で囁かれたら確実にチビるわ。
そんなこんなで役に立たないあたしに代わり、頼りになるジュニパーさんが話を聞いてくれてた。
「それで、助けてって、誰を? ぼくらはメルオーリオを助けられる?」
「無理」
「だよね」
あたしたちは、砂の下から露出した戦場跡を見る。甲冑、剣、骨……石かと思ってた地面のポツポツと白い部分、これたぶん骨だ。
「ここのどこかに、
「……わからない。でも、それはどうでも良い。死んだ者よりも、生きている者のことを考えるべき」
「現実的な幽霊……矛盾してない?」
ポソッと呟いたあたしを、ジュニパーがミュニオごと抱き締める。顔に爆乳が当たって、なんか微妙な感じ。
「ぼくらと何か、引き合うものがあったのかもね?」
「そうなの」
反対側からミュニオもギュッと抱き返してくるから、脱出タイミングを逃した。ムニョンムニョンした巨大なもんで顔を塞がれて窒息しそうになる。
「ぼくは、できることなら助けてあげたい。みんなが、良ければだけど」
「わたしも、助けたいの」
「いいよ、あたしも手を貸すのは、構わない」
「ありがとね、シェーナ、ミュニオ」
「ジュニパーが礼をいう話じゃないだろ」
「助けてくれることにじゃないよ。一緒にいてくれることに」
あたしも軽く抱擁を返した。
「シェーナにも苦手なものがあるって、わかっただけでも良かったの」
やめれジュニパー、アンタ笑うと、揺れがスゴい。乳死とか何のご褒美だ。
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