本能寺の変な説 進化版

武田伸玄

第1話 本能寺、燃える

 武田家を倒し、戦勝に沸く織田家領内。だが、信長は次を考えていた。

天正10年(1582年)3月11日。かの武田信玄が残していった武田軍団を崩し、

信玄の息子、武田勝頼を追い込んで自害させた。信長は武田に苦しんできただけに、信長が一番喜んだ。本当なら、これからも勢力を拡大するはずだった。

だが、ここが絶頂期であった…。



 西のほうに大敵がいる。毛利輝元という大大名である。

過去には大阪にあった石山本願寺という敵対勢力を毛利が支援するということがあった。この時は鉄張りにした特注の軍船で毛利の村上水軍を圧倒したが、

それ以降も、戦いが続いていた。対毛利の前線には織田軍の出世頭、羽柴秀吉がいた。軍としては押している。でも、兵力はさほど多くはないので、進軍スピードが

遅かった。そこで信長は、遂に本隊を率いての出陣に踏み切った。


 本拠地、安土城を出発した信長は、自信に満ち溢れ、「余裕」だった。

5月29日、信長は京都に入った。京都の本能寺というお寺で泊まることにした。当時のお寺は、寺同士の争いに備え、高い塀で囲っていた。なので、

とても安全である。


 6月1日、信長は、手当たり次第に茶人を呼び集め、急遽、茶会を開いた。

京都にいるとすぐに茶人が集まるので、ちょうどよかった。

 この茶会での茶人たちからのお礼に、信長は大満足であった。

茶人が帰り始めた頃、1人の茶人が

信長に言った。

 「私の部下にとっても腕の良い料理人がおります。

よろしければ、今日の夕食をおつくりしたいと申しております。」

 それに対し信長は「うむ、良かろう。試してやる。」と、

即答した。信長は完璧に油断していた。

 その料理人は、武田家に仕えていた料理人なのだが、

その料理人を疑うことをしなかった。

 いつの間にか、夕方になった。

その料理人は信長に食事を提供した。

あの武田信玄の食事を作っていただけあって、腕前は確かだ。

信長はかなり満足し、こういった。

 「よし、明日も作ってくれ。」


 そして次の日の夕方。その料理人は今日やるぞ、と心に決めた。

本能寺の建物に火をつけまわった。

 当時の建物は全て木でできていた。なので、あっという間に燃え広がった。

 「な、何じゃこの煙は!?乱丸、調べてまいれ!」

信長は、家臣の森乱丸に調べさせた。そして、すぐに戻ってきた。

 「の、信長様、火事です!!」

「そんなのわかっておるわ!!わしは敵がいるのかを知りたいのだっ!!」

「わ、わかりました!!」

乱丸が、今度は門の方に走っていった。

この間にも火は燃え広がっていく。

 そして、帰ってきた乱丸の顔が青かった。

 「調べたところ、敵軍はいません!しかし…。」

乱丸の顔がかなり青くなった。

 「何をもたもたしておる!?早く言え!!」

 「はっ!門に釘が打ち込まれ、開かなくなっております!!」

 信長の顔も青くなった。

ひとまず信長は、門の近くに行った。何とかこの高い塀を登ろうとした。

まず、信長を家臣たちで押し上げて、信長を避難させる作戦を実行に移した。

信長は体格が良いので、何人かで押し上げ、もうすぐ塀の上というところまできた。しかし、ここで家臣の一人が気づいてしまった。

 (最後の家臣が出られない…)と。

出た人が釘を外す作戦もあるが、火の勢いすさまじく、間に合うかわからない。

 これを信長を押し上げている家臣も気づいた。すると、信長を押す気が萎えて、

押す力がなくなり、信長は落下した。


 次に信長たちは、境内の木に登って塀の上に飛び移りそのまま出る、という作戦

を実行した。信長には、先に出てもらいそのあとを家臣が続く、という素晴らしい

作戦である。しかし、信長が木に登ると、信長の体重で木が折れてしまった。

これにより、信長たちは、どうしようもなくなった。

周りにいる家臣に気づいてほしいと、

旗を振って助けを待った。

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