【創作ノート】おっさん、早期リタイアしてキャンピングカーでのんびり異世界ライフ【第一期】

椎乃律歌

【創作ノート】おっさん、早期リタイアしてキャンピングカーでのんびり異世界ライフ【第一期】

【創作のきっかけ】


 『おっさん、早期リタイアしてキャンピングカーでのんびり異世界ライフ』(以下『ウニキャン』キャンピングカーのウニキャンを指す場合は『』は抜きです)を作る前に構想を練っていたのは『異世界小説で異世界知識を学んだので異世界で無双します!?』でしたが、練ったはいいが内容的にネタに走っているために微妙なので、このまま世に出してよいかと思い一度保留にしました。


 次に考えたのが「普通のおっさんが普通に異世界を旅する話が読みたい」という欲求が私の中にありました。


 小説を読んでいてタイトルに「おっさん」が入っているので読んでみたら二〇代以下に若返ったり、最初から子供に転生だったりとおっさん成分がない。私は渋いおっさんが奮闘する姿を読みたいのだが……。


 タイトルに「スローライフ」が入ってる作品を読んで見ればスローライフは一切なくて戦闘シーンばかり。私はスローライフ物が読みたいのだが……。


 そんなわけでタイトルに偽りない作品を自分で書くしか無いとなったのでした。その時に思い出したのは私が好きな『孤独のグルメ』『吉田類の酒場放浪記』『ワカコ酒』のような作品を作りたいということで方向性が出来ました。


 主人公が最初からサバイバルに明け暮れて苦労するとスローライフにならないと思い、せめて宿代を何とかしようということになりキャンピングカーを登場させることになりますが、これが後に足枷になるとはその時は思ってもいなかったのです。


 執筆途中に気がついたのですがキャンピングカーを話に入れたことで宿に泊まることと酒場を書くことが難しくなったのです。宿に関しては泊まっても良いけれどキャンピングカーがあるので無理して泊まる必要がない。酒場は飲酒運転とか不味いですしね。なのでその辺りの描写が出せたら、また違った話の幅が広がったかも知れません。


【一話あたりの分量について】


 一話の長さは千二百文字前後で書いていますが、これは一話目を書いてみて気持ち良く収まったのが由来です。一章が十二話構成なのは、たまたま一章を十二話で書けたのでテレビの四クールで一年が尺的に良いかもと思ったのがきっかけです。以前、週イチで締め切りがある仕事をしていた名残です。


【テンプレートの扱い】


 和製ファンタジー物を読んでいて頻出するテンプレート的な物をこの作品ではなるべく使わないと決めていたので基本的には避けるようにしました。テンプレートがあることで便利なこともあります。


【『ウニキャン』作中の物価】


 物価については和製ファンタジー小説にありがちな「金貨=一〇万円」とかはやらない事にしましたので金本位制は見送り管理通貨制度としました。具体的にはどうしたかと言うと通貨単位は「クローナ」として、これはスウェーデン・クローナと連動しています。


 それではどうしたかと言うとネットで実際の現地の価格を調べました。例えば現地のキャンプ場の値段を調べ、それをスウェーデン・クローナ(相場変動有り)に換算します。なので書いた日によっては微妙にレートが違ってきますし繁忙期や閑散期に合わせた季節変動もあります。新たに書き直すとなるとまた値段が違ってくるかと思います。カーフェリーの値段も地中海内を運行しているフェリーの値段が元になっています。その時はユーロをクローナに変換しています。


 なので『ウニキャン』では同じようなキャンプ場でも値段は物価が違うために差があります。食べ物も同じものでも高い安いがあります。生鮮食品系は現地の市場での値札を参考にしたり現地ネットスーパーの価格を参考にしています。大半がこれらを調べるのに時間を費した気がします。


 では、具体的に見ていきましょう。グーグルマップでストーリーに合ったイメージしている場所のキャンプ場を探します。今回はBella Torino https://www.campingbellatorino.com/ と言うキャンプ場にしました。該当のウェブサイトを探します。そしてプライスリストを見つけたらウニキャンにあったカテゴリーを探します。繁忙期と閑散期があるのでキャンプしている時期を決めます。今回は「HIGH SEASON Camper < 7,5 metri € 12,00 per day」(繁忙期、キャンパー7.5m以下、一日12ユーロ)を選びました。これを為替レート計算します。グーグルで12ユーロと入れて検索すると為替レート計算が出てきますので。円をスウェーデン・クローナに変更して再計算します。12ユーロは128.65クローナと出ました(執筆時最新取引レート)。今回はキャンピングカー一泊128クローナとなりました。このような流れで値段を決めていきました。


(注)ウニキャンのようなキャンピングカーは「キャンパー」と言い。トレーラータイプのキャンピングカーは「キャラバン」と言います。


【『ウニキャン』での人族の扱い】


 『ウニキャン』では人族は基本的に出てきません。これはよくあるテンプレート「異世界に着いたら、街道を探して人間がいる街に辿り着いて冒険者ギルドにて冒険者になる」と言う一連のテンプレを避けたからです。そもそも人間と出会う必要はあるのだろうか?折角の異世界なのでエルフや獣人やドワーフと仲良くしたいではないですか。そんな感じで人族は出さないことにしました。ただし人族がいたであろう痕跡は至るところに残っています。


 この世界では人族はマイノリティー扱いになっていて主流では有りません。なので他作品で見かけるようなドラゴンが人に変化してお供するとか言う事態にはなりません。人族が他種族に合わせろな雰囲気です。


【チートの扱い】


 始める前に異世界に物にありがちな「チート」をどうするかと考えましたがチートには制限があったほうが面白い。そういった制限が面白さに繋がるのではないかと思った次第です。


 なので『ウニキャン』ではチートは基本的に無しとの方向になり時代設定も異世界物にありがちな中世ではなくて近代となりました。魔法世界が現代地球より遅れているとは限りませんからね。そんなわけでウニキャンのチートも控えめに設定しました。チートな所は防御系と回復系ぐらいで、あとはリアルのウニモグ以上の性能では有りません。とは言ってもウニモグの元々の性能が凄いのでノーマルでも何とかなってしまいます。キャンピングカー側も室内が空間拡張されるとか無限収納の様なチートは導入しませんでした。ベースがウニモグである以外は普通のキャンピングカーです。


【ナツについて】


 秋田犬のナツについては私が犬好きなのともふもふ成分が欲しかったので登場となりました。


 和製ファンタジーにありがちなフェンリルを出しても良かったのですが、ありきたりなので今回は見送りにしました。


 独り言を呟いてもナツ相手に喋っているという感じにするためでもあります。裏設定的に地球にいた頃の飼い主はどうなっているのかとかを考えたことがありますがストーリー的には関係ないので除外しました。


 プロット的には一緒に転移したかも知れない飼い主を探す旅と言う案も有りました。


【ヒロインについて】


 ヒロインについてはウニキャンでは特に決めていません。そもそもばったり出会った女性が助けたとは言え両親を説得して、今までの生活を捨てて無職で放浪の旅をしている得体の知れないおっさんに付いて行くと言うのをリアルで考えて、私が親なら許可しませんので、それは無しということにしました。最初はエルフを連れて旅行も考えていたのですが「おっさんが孤独に旅をする」のがメインの作品なので相方はナツになったというわけです。


【エルフについて】


 エルフについて。エルフに関しては特に弄っていません。異世界と言ったらエルフでしょという訳でエルフに出てもらっています。エルフ国のイメージは北欧です。なので物価はかなり高め。自然が好きで格好も北欧の山ガールみたいな感じです。エルフの人名はドイツ語で統一しています。今思えば北欧でも良かったかも。最初はドイツあたりというイメージがあった名残です。


 エルフの食事は基本的にはノルウェー料理が元になっています。ちょっとドイツ要素もありますがそこは適当に混ぜています。


 ここでのエルフは普通に雑食です。他作品にてベジタリアン設定のエルフを見かけますが、森に住んでいて弓が上手いエルフが狩りをして肉を食わないはずはなかろうという事で雑食になっています。


【エルフ国について】


 エルフの都はノルウェー、オスロやベルゲン辺りを参考にしています。ノルウェー屋台の写真を探し回ったりしました。作品を通して具体的な都市名はボカしていますが完全新規の名称を考えるのが難しかったからです。カリーブルストは完全にドイツイメージですね。


 超古代遺跡はダンジョンぽいものを出したいけれどダンジョンではないものとして描きました。古代のアトラクションだと思ってくだい。数少ないウニキャン(自動車)で無双するシーンです。


 学術都市も当初の構想の中には有りましたが今回は出すことが出来ませんでした。


【獣人国について】


 獣人国はスペインベースです。エルフ国から獣人国への山越えはピレネー山脈がモデルになっておりストリートビューを参考にして書いていたりします。各地の風景描写などはストリートビューが無ければ難しかったでしょう。


 名前もスペイン系の名前からとっています。昨今の和製ファンタジーでは獣人=闘い、そして天下一武道会と言う図式を見かけますが、なるべくテンプレは使わない『ウニキャン』ですので魔導車競技会となりました。作中で出てくる市場はバルセロナにあるブリケア市場がモデルとなっています。


【ドワーフ国について】


 ドワーフと魔道具について。この世界では魔法が地球の科学と同等に発達したので地球の産業革命やそれ以降の発展は魔法で成し遂げています。なので魔法で動く自動車、船、飛行機なども存在する世界です。ドワーフはそのなかで中心的な役割をしていて産業革命をエルフとともに起こしました。エルフはどちらかというと学術系でドワーフが技術系を担っています。


 ドワーフの名前はポルトガル語がベースになっています。ただ国は広いのでポルトガルや北部イタリアを混ぜています。造船所編がポルトガルで魔導車編が北部イタリア、トリノがイメージとなっています。トリノにはイタリアの自動車メーカー、フィアットがありイメージのベースともなっています。自動車パーツの量販店とかも出したかったのですが尺が足りませんでした。


【魔女島について】


 魔女について。魔女は作中にあるように一つの種族扱いになっています。人族に似ていますが人族では有りません。魔女島のモデルはサルディーニャ島とシチリア島がモデルとなっています。サルディーニャ島を調べていて気がついたのですがキャンプ場は海岸キャンプが基本で内陸部にはキャンプ場がないのですよ。その辺りは色々と創作が入っています。魔女島にて出てくる遺跡は実在の遺跡を参考にしています。スー・ヌラージ・ディ・バルーミニと言う世界遺産にも登録されている遺跡です。魔女がいてもおかしくない感じの遺跡なので興味のある方は検索してみてください。


 魔女島編は本来のプロットでは無かった物です。書いている内にドワーフ国編が長くなりそうと気がついてウニキャンで移動している間に変化をつけたくなりました。ドワーフ国の下に島がありましたので、当時読んでいた『ふらいんぐうぃち』の影響もありまして魔女を出すことにしました。


【この異世界はどこにあるの?】


 今回の異世界は別次元にあるとかではなくて私達がいる天の川銀河とは別の銀河系という設定になっています。銀河間を移動する手段があれば行くことは出来ます。


 異世界の先住民達は高度な魔法科学技術を築き上げた後に高次元へと去りました。この地を去った後に今後を憂い別の銀河から移民を集めることにしました。それが地球人やエルフ、ドワーフ、獣人、魔女といった種族になります。


 異世界には高度に発達した量子テレポーテーション技術によって元の世界からデータのみが空間を渡り現地で現地の物質を使用して再構築されて移動しています。つまりコピーワンスでコピーされてこの世界に移植されています。つまり元の世界のオリジナルは消滅し異世界に移植された人や物は全てそっくりなコピーです。作中にあるように記憶をすべて受け継いでいるため本人にとっては単に異世界に移動したとしか思えない状況になっています。

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