往来

僕の青春ほど、空虚なものはなかった


冬と春の間に一日空いた穴

夜空に何も浮かばない不思議な日


木花開耶姫コノハナノサクヤビメの眠った

京都の神社に足を運んで


明日の子どもに願いをかける


橋の下には空っぽな

柔らかい風がはたはたと吹いて

まるできつねたぬき鹿しか

踊りながら通ったようで、

草もさらさら流れている


展望のない台の上

空気のない街の中

意味のない人の下


しかし機械はぐるぐる回って

僕はつまんで放り込まれる


身を引き裂くような時間のゆが

気が遠くなるような文字の旅路たびじ


僕は服を着て

勇んで道を行く

恥じらいを仮面の底に隠して

人の横を進む

自分の前にいる自分の映像に

心を溶かして楽をする


時間は全てを楽にする

はるけき雪の季節まで

明るい朝の寒さまで

いくばくの余暇を

最新の平安を

むだむだ過ごしてみる

まあ、そのようなものだ


またいつかり方の疑義ぎぎに疲れるだろう

そのとき再び過去の言葉を開いて

夢とうつつをする

そうやって様々な尺度の

往来おうらいを繰り返すのである

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