寸止め知らずの路上面談
真花
ツッコミたい欲を結晶化させて産めそうなぐらい
精神科医になって十年。溜まりに溜まったフラストレーションがある。
対人援助職のプロである以上絶対に守らなければならないこととして、どんなに変なことを言われたとしてもツッコんではいけないのだ。必ず受け止めて、吟味して、プロとしての言葉を返す。
それに挟持を持ってやって来たのだが、ついに限界に達した。
僕はツッコミたい。
十年分ツッコミたい。
そこで、上野公園で路上面談をすることにした。
テーブルと椅子を用意して、「精神科医が面談をします。どんな内容でもO Kです」と看板を掲げる。
その下に条件を書く。「ただし、通常の医療と異なり、どんどんツッコミながらの話をします。無料です」
真夏の日曜日、朝の十時に設置完了。僕は白衣を着ている。
僕のツッコミ欲を満たしてくれる誰かさん、カモン。舌舐めずりして待ってるよ。
一人目が近付いて来た。
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