鮎の眼をした雪女(改)

tokuyasukn

第1話 夢

 

  下方が赤い色に変わる。灼熱の溶岩が三途の川と連なり、蠢(うごめ)くものを囲んでいた。湯浴みの女が立ち上がって近づいて来る。

大きな黒い目と小さな歯が並ぶ口、わたしの死装束はバタバタ鳴った。

閻魔大王を見るのははじめて…地獄と浄土の両方を往来してひとの死後を決める地蔵菩薩は、額に光る角板をめぐらし、青白い皮膚は網目の法衣に覆われていた。

 

 無色透明の眼から光を放ってわたしを睨んだ。

つばきが口に白い巣をつくり、懐かしい空や山々も見える。

ふもとに道が一本、山麓に暗緑の陰りがあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る