着歴

 付き合うのも初めて、別れるのも初めて。別れた後、どうしたらいいのかわからない私は、何もしなかった。クラスが違うから学校で顔を合わすこともない。話すような場もない。連絡もしない。タケちゃんとは何もなくなった。


 地元の友達に、私と同じ専門学校に行きたいという子がいた。それもあって、地元で地元の仲間とよく遊ぶようになった。『高校』自体に寄り付かなくなっていった。


 冬の手前、私の誕生日。夜、私はお風呂から出た後。携帯に着歴があった。タケちゃんからだった。私は掛け直さなかった。どうしていいかわからなかった。




 ふたり一緒にいることに、学校だの親だの何だの、そんなの何も関係ない。好きって気持ちがあればいい。好きだけじゃやっていけないけど、好きじゃなきゃやっていけない。想いさえあればいい。そのことに、気付くには遅かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る