そうゆうとこだぞ。兄貴

ゆるゆる

ほんへ

何事も最初が肝心

「今日もいい天気☆」

 白髪で黒目のあまり締りのない顔をした青年はカーテンを開け、朝の太陽の光を浴びながら大きく体を伸ばした。

 今日は4月30日、平成最後の日らしい。っと言っても別に最後だからといって何かあるわけではないけど。

「さーてと、飯作るか」

 青年はキッチンに向かい、朝ご飯を作り始めた。

 しばらくすると......

 ートンッ、トンッ。

 軽い足音で階段を降りてくるのが聞こえてきた。

 降りてきたのは、少し寝癖が目立つが綺麗な金髪を下した、海みたいな色の目がまだ眠そうな雰囲気のかわいらしいパジャマ姿の少女だった。あ、ちなみに妹です。

「おはよう、由唯」

「......ん、おはよう」

 声には起きたばかりだからかハリが無く、遅れて少し抜けた感じの返事をしてきた。

「今日は何時くらいに終わるんだ?」

「いつもどおり......」

「そっか、じゃあやっぱ弁当作っといて良かったな」

 少女は青年の質問に眠たく素っ気なく応えると、洗面所へ向かった。

「ご飯できたよー」

「今行くー」

 青年が料理を運び座った後、髪をサイドテールにし、顔を洗ってサッパリした顔つきになった少女が青年の後を追うようにして反対側に座った。

 今日の朝ご飯は、白米、味噌汁、焼き鮭、ポテトサラダだ。

「じゃあ、いただきます」

「いただきます」

 青年が合掌し挨拶をしたのに続き少女も同じように挨拶をした。青年は納豆を、少女は生卵をご飯にかける。......納豆おいしいのに...。

 朝だからか、二人は静かに食べ始めた。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした...」

 食べ始めのように挨拶をした後、青年は食べ終わった食器をすべてキッチンに持っていき洗い始めた。

「ほら、早く着替えて来な」

「わかってるよ」

 少女は少し不満げになりながら小走りで2階の自分の部屋へ向かった。

 少女はアイドルをやっていて、Anges《アンジュ》というグループ名で活動している。ちなみに、イタリア語で「天使たち」という意味らしい。なぜイタリア語なのかは突っ込まないでいただきたい...。

 今日はゴールデンウィークライブ最後のレッスンだということで、早めに終わらせてライブに備えようか、とことんやるかで悩んだが後者のために気合の入った弁当を作ってあげたら当たったためよかった、よかった。


 数分後、少女が戻ってきた。今日の服は、真ん中に白黒の熊の絵が入った半袖の下に長袖を着ていた。ズボンは白のラインが入った全体が黒の半ズボンを着ていた。

 うん。かわいい。俺は好き。やっぱ金髪サイドテールは神。はっきりわかんだね。

「じゃあ、行ってくる」

 じろじろ見てくるのに気が付いたのか早く出ていこうとする少女を皿を洗う手が止まっていた青年がテーブルの脇に置いておいた包みを持って玄関まで追いかけ、

「行ってらしゃい。あ、あとこれ...はいお弁当」

「...ありがと」

 少女は少し躊躇いながら、弁当を受け取った。

「ん?どうかしたか」

「いや、別に。行ってきます」

 ガチャ。

 少女が扉を開け出かけて行ったあと、

「んー。ここまで小説とかの出だしっぽいの頭ん中でやってみたけど、なんかちげーな。しょーもねーし。小説書くのあきらめよ。」


 ま、この話は今から始まるけどね。

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