第25話 おっぱい星人が共存できるたった一つの方法
僕はおっぱい星人です。
前回、おっぱいには歴史があり、おっぱいの重要性を理解頂いた皆様には、重層的な意味を孕むこのフレーズが、今や異なる様相を呈して浮かび上がっているのではないでしょうか。そう感じて頂けていれば至極幸せでございます。
ここで、おっぱいに歴史があるのであれば……と聡明な皆さんは既に勘付かれていると思います。そうです、おっぱいがあればお尻もある。
数千年の時を経て、僕がおっぱい星人だと明かせるようになった背景を考慮しても、この二つの対立は避けては通れない問題です。我々おっぱい星人がお尻に言及することは、今でなければ血脈の違い、未知への恐怖、異物への忌避感から大規模な戦争へと発展していたに違いません。それほど繊細で多くの思惑に作用する弾性の強い話題ですから、深く注意を払いながら、今回は最終的にその対立を無くす方法を書きたいと思います。
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過去を遡ってみると、人の土着信仰が強いのは断然お尻です。それは現代日本でも「地名」によって確認されます。
昨年、関東地方を襲った大型台風で注目が集まりましたが、地名はその場所がどのような場所であるかを示す重要な情報です。窪や亀が付く地名は水害に遭いやすい、と言ったように土地の性格を示しています。そこに住んでいる人の経験と智慧の結実。それが地名なのです。
その地名で検索してみましょう。結果、胸・乳を含む地名は8件。対して尻を含む地名は496件(※1)。圧倒的に尻が勝っています。これは人が胸よりも尻を重要視してきた何よりの証左です。
手短に言うと、昔の人もお尻が好きだった。
この選好は今でも変わらず、携帯電話をとっても世界の四分の一、日本の半数を支配するりんごが搭載するAIはSiri(尻)と名付けられました。また、アスキュー(尻の行列)というフレーズもあります。
日本では特に文化的要素に顕著に見られ、僕は月にお尻を感じます。これは多くの方と共有できる感覚ではないでしょうか。
人と相対する時、一番目についてしまう顔やお胸が太陽だとしたら、お尻はすっと静かに物言わず佇む月。静謐の象徴です。人々はまるまるとした月を、
また、まだ水道も整備されていない古い時代、人々は身体を洗いに川へ集まりました。もちろん流れる川ですから人々は水を汲むためにかがむ、もしくは頭だけを川につける横着者もいたでしょう。すると、どうしても目を奪われるのはお尻。その内、お尻で誰が誰だか分かるようになる。
「あら、あの屈強なお尻は隣の村の伊井ツケさんだわ」「ふっくらした豊かなお尻。あれこそ我らがアイドル桃ちゃんだ!」というように。そこから、見知った人のことを「お尻合わせ、お尻合い」転じて「お知り合い」と呼ぶようになりました。
そもそも、人は進化の過程で直立二足歩行となったが故にセックスアピールの部位がお尻からおっぱいへと変移しただけであり、あくまでも動物としての本能はお尻を求める、というお尻好きの論説には一理あると思われます。
例外として、現代日本において大きなお尻は熱狂的な進化論的原理主義者以外には好まれないように感じますが、海外ではお尻に莫大な保険金が掛かることもあります。これは、日本は島国であるためにおっぱい星人の血がより濃く残ったのだろうと推察されます。
いずれにしても、人にとっては過去から現在に至るまで、文化的にも、生物的にも「お尻」は重要な役割を担っていることが分かります。
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留意すべきは、これらはあくまで傾向を示しているだけで、それが直接的な選好因子になっている訳ではないということです。現にAskewは種族としてはおっぱい星人が強いですが、並んだお尻を体現する重層構造を内包しており、お尻も好きです。Vice Versa(逆もしかり)。
言葉の成り立ちを鑑みても、おっぱいが酒杯を示すのに対して、お尻はうしろを意味する(※2)。そもそも比べることが出来ません。
だからこそ、極端な二党対立で議論を交わす必要はないと思うのです。おっぱいお尻論争という一種の魅力的なミームに惑わされず、自分が良いと思ったことは良いと表現する。それは(元々が)おっぱい星人であれ、人であれ、両者の境目が無くなったこの時に強く意識されるべき確かなことだと感じています。
○
両者の隔絶した起源を示すのが言葉であれば、その二つを結ぶのもまた言葉。
議論が白熱して、お互い自分を見失いそうになった時はこう言いましょう。
「まぁ、酒でも飲みましょうや」(おっぱい星人に)
「お尻の温かさを思い出して」(人に)
この言葉たちで、世界はもっと救われるはずです。
注:この文章は、以前Twitterでお尻に論及頂いた以下お二人の所見に感銘を受けて起草したものです。文中で所見を引用している箇所がございますので、ご承知おき下さい。お二人方にはお目こぼし頂きたくお願い申し上げます。多大なご助力と刺激を賜り、こころより感謝いたします。
素敵な識者の方々
北極ポッケさま https://kakuyomu.jp/users/yumecy
望月の解釈を示して下さいました。
西フロイデさま https://kakuyomu.jp/users/freud_nishi
この記事の発端、またお尻の温かさを思い出すきっかけになりました。
また、記載した内容については、誤謬の無いよう手を尽くしましたが、基本的に出典の無い箇所は個人のとりとめのない考察としてご理解頂けますと幸いです。
※1 地名辞典オンラインより
https://chimei.jitenon.jp/
※2 日本語の意外な歴史より「尻(しり)」の語源
http://www.jojikanehira.com/archives/number16
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