ポイント

夢女

第1話 真、序章

ガラガラガラッ……ガタン!

 隣の部屋の雨戸が開く音で毎日目が覚める。

「……まだ六時……って毎日こうだけどさぁ……」


 真(シン)はいつもこの隣の住人の雨戸を開ける音で目が覚める。あと三十分は寝れるんだけどなぁ……と思いながら、呟く。

 

朝なのに、遮光カーテンのせいで部屋は真っ暗。手に取ったスマホの光が顔を照らす。

「はぁ〜……起きるかー!」

 シャッ……遮光カーテンを開けると外は太陽が眩しい。清々しい天気だ。

「昨日飲みすぎた……風呂入ろ。」


 朝六時に起床、シャワーを浴びて、タバコを一服。スマホのメールをチェックしながら、コーヒーメーカーで作ったホットコーヒーを飲む。朝の毎日のルーティン。


 七時半に家を出る。家のすぐ側にはコンビニエンスストアがあるので、サンドイッチを1つ……。

「あれ、ハムレタス無い」

 思わず呟いた声が近くの店員に聞こえた。

「すみません!今日ハムレタス買う方多くて、申し訳ないです!」

真は、申し訳なさそうに謝る店員に笑顔で会釈したけれど、今日は無性にハムレタスって気分だったんだけどなぁ。と心では思っていた。


 支払いはキャッシュ。真はあまりカード決済が好きではない。次の月に支払い、後から支払うのが嫌だと思っている。世の中キャッシュレス時代。それだけでも真はストレスを感じている。ポイント貯めんのは分かるけど、現金払いの何がダメなんだか……。真は以前にキャッシュ払いをした時に友人から言われていた。何かしら会計をする度にそのやり取りを思い出す。

「お前、カードないの?最低Suicaとかさぁ。なんか、現代じゃなくね?」

俺は俺。お前はお前。俺の自由だろーに。と思いつつ、その友人の言葉が心に刺さっていた。


 真は小さいストレスが溜まっていく性格をしている。喜怒哀楽が無いわけではないが、思ったことを一旦飲み込んで、冷静になってから言葉にする性格だ。だから、心の中で悶々とするものが増えていく。カード対応してない店もあるじゃん。と思ったが、それは友人には告げず飲み込んだ。


 確かにキャッシュレスは便利だと思う。ただ、今支払いして、後に残したくない。Suicaは持ってるけど、現金で払うのが好き。だだそれだけなんだけど。俺、ズレてる?と真は不安に思っていた。こんな小さい事でもストレスになるって、俺って気が弱いのか小さいのか……マイナス思考多いよな。朝起きて、コンビニに寄った本の少しの時間でも、嫌な事を思い出し、はぁ……。ため息が出た。他の人には全く気にしない事でも、考え込む真の性格はマイナスだった。














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