もう一人の自分の価値

文屋旅人

もう一人の自分の価値

 或る大学で登録した人間と全く同じ行動をとり、全く同じ外見になれるロボットが開発された。

 精原細胞や卵原細胞をセットすると、本物と同じように子作りすら行う。

 このロボットについて、人権を認めるべきか否かという話が議会を始めとして行われた。

 なんともおかしいことに、十年にもわたってこのロボットの人権について政府は話をつづけたのだ。

 こうして、出た結論が以下のものである。






「記憶を共有できない場合は一個人として扱えばいいんじゃないか?」






 この遠い未来の話から我々が学べることは二つである。


 一つは人間とは生殖と記憶によって人間として認められる可能性が高いということ。

 そしてもう一つは議会というものは何とも決定が遅く、あきれ果てる様な程単純な結論にも多大なる時間をかけるということだ。



          了

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もう一人の自分の価値 文屋旅人 @Tabito-Funnya

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