第157話 お客様
間があいてしまって申し訳ありません。コメントへの返信も必ずさせてもらいます。
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「ところでエレメーイ殿は、どのような役職に
「はい、衛兵ですがイオアン様の屋敷の警備隊長の任に就いております。」
「ふむ、役職といい今回の件といい信任が厚いのだな。」
「そうであれば、嬉しいのですが。なにぶん就任して日が浅く平民出身なものですから、中々に難しい所もあります。」
「なるほど。まあ、私も一カ月前までは平民だったのだ。慣れるさ。ところで、何故街中であのように書簡を渡したのかね?」
「あっ、いえ、深い意味は無いのです。北門の衛兵にガイウス様にお届け物があることを説明したら、まだ、行政庁舎にいらっしゃるだろうということでそちらに向かっている途中でした。そして、偶然にも帰路につかれていたガイウス様を見つけ、イオアン様の書簡をお渡ししたということです。」
「ならば、屋敷でもよかったのでは?」
「イオアン様は“なるべく早く渡すように”との事でしたので。ご迷惑をおかけしたなら申し訳ありませんでした。」
「いや、私はよいのだが、街の者達がな。何かあったと思ってしまうだろう?そこの配慮をしてもらいたかったのだ。」
「ああ、確かに。」
「まあ、終わったことだ。気にすることはない。些細なミスなど誰にでもある。それを
北門の衛兵さんに貴族証を見せて通り抜ける。エレメーイさんは帝国の人間ということもあって、身分証を見せて僕が口添えしても、軽い身体検査をされた。
「申し訳ないな。エレメーイ殿。規則なので私の権限でどうこうできるものではなくてな。」
「いえ、お気になさらず。私も衛兵ですから彼らの職務態度は素晴らしいものだと思います。通常時に例外を作ってしまえば常態化する可能性がありますから。それに私は招かれた客人ではありませんので。」
「そう言ってもらえると助かる。」
詰所でエレメーイさんが馬を預けていた受け取りながら答える。
「さて、それでは、我が家にお越しいただこうか。まだ、この国の貴族も訪れたことは無い。外国の客人となれば尚更だ。幸い帝国はこちらと食の事情は同じと聞いている。口に合うかどうかはわからんが、しっかりとした食事を出せると思う。」
「ありがとうございます。閣下。閣下のお屋敷とはニルレブに来る直前に見た赤い防壁で囲われた建造物でよろしかったでしょうか?」
「そうだ。」
「あれは、なんといいますか。まさに城塞ですな。立てこもられると落とすのに難儀しそうです。」
「ハハハ。確かに。しかし、イオアン殿とは例の条約があるから争うことにはならんだろう。帝国の国軍が出てくれば話しは別だが。」
「どうでしょうか。国軍はイオアン様が動かれないと動員もしないと思います。」
「そうであってほしいものだ。」
お互いに駆け足の馬を操り、談笑しながらクレムリンを目指す。数分後には正門に着いた。門番には呂布隊からの先遣隊として派遣された兵が
「お帰りなさいませ。領主様。ようこそいらっしゃいましたお客人。」
「ああ、ただいま。呂布たちはまだ時間が掛かりそうか?」
「今日来た伝令の話しに寄れば明後日の夕刻までには到着するかと。」
「うむ、わかった。行こうエレメーイ殿。」
近くでクレムリンを見て目を丸くしているエレメーイさんを促して、中に入る。そのまま厩舎に向かう。
「すまんな。エレメーイ殿。厩舎員がまだいないのだ。」
「いえ、お気になさらず。しかし、立派な馬が多いですな。100はいますかな?」
「ふむ、戦力を知りたいのかね?」
「あ、いえ、そのようなことは。ああ、しかし、この話題だとそうなりますか。申し訳ありません。」
「別に秘密にしていることではないので、お教えしよう。今現在、先ほどの門番も含めて騎兵が100弱。私の冒険者仲間“シュタールヴィレ”が8級が1人、6級が2人、準3級、3級、準1級が1人ずつ。そして、今現在、こちらに買った奴隷を移送している騎兵が1,900と少し。どうかね、覚えたかな?イオアン殿に報告しなければならないだろう?」
「あー、はい。お恥ずかしい限りですが、書き物を戴ければと思います。」
「ハハハ、準備しよう。ま、まずは、食事だ。こちらへ。」
そう言ってテレムノイ宮殿に案内する。その際にもエレメーイさんはキョロキョロとクレムリンの中を見渡していた。まあ、しょうがないよね。僕も特には注意をせずに歩みを進める。テレムノイ宮殿の入口にも兵が2人、
食堂にはレナータさんとアントンさん、クリスがいた。ユリアさんとローザさん、エミーリアさんは厨房のほうで配膳の準備をしているそうだ。それじゃあ、席に着いて待っていようかな。エレメーイさんはお客様だから僕の近く、クリスの対面に座ってもらった。今日は、何の料理かなあ。
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