第20話 誘惑?

「いやー、大変だったみたいね。」


「ローザさん・・・。」


 いつの間にかローザさんとエミーリアさんが側まで来ていた。2人とも椅子に座った。


「冒険者になって、いや村を出てからまだ2日ですよ。なんでこんなことに・・・。」


「大丈夫、私たちがついている。」


 そう言いエミーリアさんがグッと僕の頭を掴み、その豊満な胸に顔をうずめさせ、頭をポンポンと優しく叩いてくれた。彼女なりの労りなのだろうがはっきり言って恥ずかしい。いや、凄くいい匂いがするし、胸は柔らかいしって僕は何を考えているんだ。


 ガバっと頭を胸から引き剥がし、


「ありがとうございます。少し落ち着きました。」


「その割には顔が赤いわよ。」


「そ、それは・・・」


「それは?」


「言えませんよ!?」


「フフ、照れてるのね。そうしていると歳相応で可愛いわね。」


 何も言えず黙っていると、今度はローザさんが僕を抱き寄せて頭を撫で始めた。僕にお姉ちゃんがいたらこんな感じだったのかな。少しだけ流れに身をゆだねてみる。剣ダコのある手だけど優しい手つきだ。


「ガイウスさん。査定カウンターへお越し下さい。」


 呼び出しがかかる。どうやら査定がすべて終わったようだ。僕たち3人は査定カウンターへと向かう。査定カウンターにはデニスさんがいた。カウンターには革袋が二つ置かれている。


「やぁ、ガイウス君。さっきぶり。こっちの革袋がゴブリン関係の査定金額で全部で白金貨1枚、金貨80枚、銀貨50枚だよ。いやぁ、久しぶりの大金だね。こっちの革袋かお願いされていた別査定のモノで金貨34枚、銀貨25枚だよ。」


「ありがとうございます。別査定のモノはそのままパーティ名でギルドに預けます。さっきもお願いしていて、確かエレさんだったかと思います。」


「エレだね。わかった。彼女に頼んで来よう。」


 デニスさんが革袋を一つ持ってエレさんのいる受付の奥の方へと向かって行った。その間に残った革袋の中身を確認する。白金貨1枚で金貨100枚分だから凄い大金だ。金貨も80枚ある。本当ならそれなりの大金の銀貨50枚が霞んでしまうほどの存在感だ。


「はぁ、1人でこれだけ稼ぐなんてすごいわね。ガイウス君。」


「やっぱり、ガイウスは規格外。今のうちに手を付けて他の女に取られないようにしないと。」


 2人して両側からくっついてくる。


「なんでお二人とも今日はこんなに近いんですか!?昨日はそんなことなかったのに。」


「それはパーティメンバーになったからよ。もっとスキンシップを取っていきましょう。お互いのことを知るために。」


「パーティメンバーとしてお互いの知ることは賛成です。でも過度なスキンシップは必要ないと思います。」


「あら、振られちゃったわね。残念。」


 笑いながら離れるローザさん。


「からかっていただけでしょう?」


「私はからかっていない。」


 そう言ってさらにギュッと抱き着いてくるエミーリアさん。それにより胸が押し付けられる。あぁ、僕はどうしたら・・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る