アラジン株式会社の商品開発部

七海けい

第1話


 アラジン株式会社の商品開発部にて。


「──新藤先輩!」

「何だい、森くん」


「“魔法のランプ2号”の開発に向けて、“魔法のランプ1号”のユーザーさんから寄せられた苦情と要望を、資料にして纏めてみました!」

「なるほど。真摯にユーザーの声を聞く。とても大事なことだ」


 新藤は、森からA4版のレポートを受け取った。


「何々……


・擦ったら塗料が禿げた。安っぽい感じがした

・子供が勝手に触って、願い事を全部使ってしまった。子供には呼べないようにして欲しい

・カレーを入れたらウンともスンとも言わなくなった。何でだ?

・出てくるアバターは、オッサンより美少女の方が嬉しい

・換気扇の近くで呼んだらそのまま吸い出されてしまった


……全く。願いが叶うってだけでも凄いのに、消費者って生き物は本当に我が儘だな」


 新藤は、引き出しから魔法のランプ1号を取り出した。


「おい魔法のランプ、レポートを元に、完璧な改良品を作れ」

「──御意」


「よし。2号の開発は完了だ。森くん。今日は打ち上げでもしようか?」

「はい、……」


 森は自分のデスクに戻ると、引き出しから、魔法のランプ1号を取り出した。


「……魔法のランプさん。良い転職先を探して?」

「──御意」


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アラジン株式会社の商品開発部 七海けい @kk-rabi

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