第2話 あの日…

人間、究極に切羽詰まると予測不能になる。

自分自身という肉体?脳?の保護に走る。

学生の頃 車に撥ねられた際に衝突する瞬間、時が物凄く長く感じられた…

後日判明した事だが脳が生存の為に瞬時に考える為らしい…

離婚が決定的になった時に同様の事が起こった。

ある日 いつも通り出勤しようと自宅を出たのだが足取りが進まない…

道中、車を停め自販機で缶コーヒーを買い煙草に火をつけ精神安定を図った。

しかし車を走らせ向かっていたのは会社ではなく兼ねてから死に場所に選んでいた場所だった…

そこまでの道程はあまり覚えてないし何を考えていたか分からない。無意識だ。

いや冷静ならばそもそもそんな行動には出ていない笑


「無になりたい…」

そう

「死にたい…」

ではなく無になりたい…

メンタルの強い方から見るとただの現実逃避なんだろう。自分は強い人間ではないし無意識に何重もの仮面をつけて生きてきたのでどれが一体、真実の自分かさえ分からなくなっていた。

嫁さんと生活するなかで生きる為に身につけた知恵…もしかしたらもっと違った生き方をしていたらこんな結果ではなかったろう…

だが人生にifはない…

結婚生活約10年の抑圧されたものが一気に噴火した結果

「無になりたい」だった…

妻からの誹謗中傷

妻の不倫の末の出産

会社でのストレス…etc.

全て自分の中で肯定してきたものまでもが自分に牙を剥いた!

目的地に着き眠れないのに眠りについた。思考するのすら嫌になったのだ。

飲食もせずに車で目を瞑り無になろうとした。所持金は五千円ちょっとしか持ち合わせてなく先の見えない人生破綻への道程ははじまった…



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