第23話 留学生

これまでのあらすじ


宇宙のどこかに地球に似た太陽系があった。

ただし大きく違ったところが一つ。

月の代わりにもう一つ地球が回っていた。

その星を地球人は天球と呼んだ。


天球に知的生命は居るか?

天球を勝手に探査してよいのか?

地球側の考えは割れ、冷戦が続く中、

(株)月光は一人の男を宇宙船に乗せた。

決死の探査作戦を行った月光は爆撃され、

ついに戦争が始まった。

天球へ向かった男への補給は途絶える。


天球に辿り着いた男マウは類稀な免疫力とサバイバル能力で生き残り、

天球人と出会う。

マウ自身は天球ドラゴンを食べて不老に。

天球人は元々不老不死に近い生態だった。


天球人は動果物。果実が動物に、知的生命に進化していた。

木にも脳が有り、果実にも脳がある。

毎晩眠る事で記憶は木の方へバックアップされる。


そして50年、

地球側の戦争で放置されたマウは、

天球人武闘家シキに武術を教わっていた。

そこへステルス宇宙船を開発した月光が探査を再開し、

交信機を天球へ届けた。

地球側は50年生き延びたマウと天球人の存在を知る。


今、二重惑星の世界は3つの派閥に分かれている。

一つ目は(株)月光の科学力に与する先進諸国。

二つ目はその天球探査を禁ずる宗教を信じる大国と、同じ宗派の国々。

三つ目は天球人、その中でも哲学者アキ。

そしてアキに魅入られ始めた地球人、、、


登場人物は前話で紹介しています。


―■―


マヒナ「マウとマオに関してなら、お任せします」


アキ「そうですか、では彼らには我々の繁殖ルールに従ってもらいましょう

森の天球人全員からの繁殖許可をもらってから、

繁殖する事になるでしょう」


直近では武道家シキが繁殖許可を得ている。

実は、繁殖許可はおりない方が珍しい。


この繁殖という話題は、アキが前回のマヒナとの会話でまいた種の回収である。


天球で勝手に繁殖させないと言う意識表示をしたかったのだ。


これは当然入植に関しても無断では許可しないと言う考え方になる。

少なくとも、非干渉派は味方につくはずである。


マヒナ「マウ達にはいつか帰ってきて欲しい」

研究したいがゆえに。

アキ「その為にも自由に行き来できるようにしたいですね」



繁殖は許可制、しかし往来は自由。

この条件を汲み取った佐藤天文台長がアキに提案する。


佐藤「お互いの星に渡った者は留学生という扱いでいかがでしょう?」


アキ「いいでしょう」


佐藤「ではほかに何かありますか?天球人が地球に来た際の扱いなど?」


アキ「、、まだ天球発の宇宙船完成は先の事ですし、

私が行くとも限りませんから、考えておきましょう

それよりも、

留学生として来る前にお互いの文化の違いについて、

知っておいて欲しい事があります」


ついに数千年生きた異星人哲学者の考え、その片鱗が明らかとなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る