第5話 宇宙公社『月光』
天球は多彩な生命が溢れる星だった。
地球と同じように。
今マウが対峙している大型肉食爬虫類はマウを食べるつもりだろうか。
高度な知能があるなら食べた事のない物は避けるはずだが。
どう見ても恐竜っぽい。
とりあえず食べてみて味で判断しそう。
■
二重惑星間で避けるべき事が有るとするならば、
それは戦争や征服だろう。
マウが置かれた状況は、惑星間初の争いかもしれない。
この争いに勝つべきか、負けるべきか。
しかしこのミッションに初めから高度な武器は持ち込まれていない。
母星には近代の頃に発足した宇宙公社がある。
その公社は優秀な人材を集めて利益を生み、国家を超えて発達してきた。
毎晩見える隣の星が優秀な人材を自然と宇宙公社へ集めるのだ。
同時に厳しい意見も寄せられる。
武器の持ち込みなどは特に。
ともあれ地球の英知が全力でマウを援助する。
全ての物資はたった一人分マウの為だけに贈られる。
数日間安静にして生き延びたマウに第一弾の支援物資が発射されていた。
その無人機は夜の天球で輝く松明を目指して降下していく。
人工呼吸器や点滴を処方できる無菌室。
その外装は大気圏突入に耐えた人工物であり、
野生動物ではどうする事も出来ない。
マウは最後の力を振り絞り無菌室へ逃げ込んだ。
勝つ必要も負ける必要も無い。
ただ共に生きていく。
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