近傍宇宙未確認領域探査局


 土曜日の昼過ぎ、待ち合わせのホテルのロビーにたたずむアニー

 

「アニー!」

 ミエリッキが手を振っています。

「待たせたかしら?」

「いいえ、元気そうね」


 ミエリッキの後ろに綺麗な女の人がいます。

 アニーはてっきり、名前をつける赤ちゃんのお母さんと……

「お久しぶりです、アニー・スチュアート様」


 えっ、知り合いなの?

 誰だったかしら……


「GRT5968Cです、本体のGRT5968が廃棄処分となり、私はその後、オルメカ種族として迎えられました、先ごろまでイオステーションで、事務官見習いをしておりました」


「この度、正式にガリレオ衛星執政官府勤務となりました」


「そのおりミエリッキ様が、私が番号でよばれているのがおかしいとおっしゃり、名前をつけることを提案され、名前をいただけるのならアニー・スチュアート様につけていただきたいと願ったのです」


 GRT5968Cが、

「アニー様、私はなんと称せばいいのでしょうか?」


 ミエリッキが、

「いい名前をつけてあげてね、貴女の同僚になる人よ」


「クレマチスって名前を考えていたのですけど……」

「クレマチス……いいわね、たしか花言葉は心の美しさ、紫の花がとても綺麗ですものね、年中咲いているのもいいわ、元気で美しいですものね」


「私はクレマチス、心の美しさ」

 嬉しそうにGRT5968Cは言いました。


 クレマチスさん、とてもオルメカらしく、ゴージャスな容姿なのですが堅い雰囲気があります、融通が利かないような……

 ミエリッキ・オッコネンは可愛い子ちゃん風ですが、お尻も胸もクレマチスよりもさらにゴージャス。


 四月、ミエリッキとクレマチスは女孺(にょじゅ)に昇格しました。

 そしてアニーとともに、ガリレオ衛星執政官府に新たに出来た、近傍宇宙未確認領域探査局勤務となったのです。

 まぁ窓際的な部署ではあります。

 この三名、妙に気が合うようなのです。


 当初、窓際的な部署と考えられていたガリレオ衛星ステーション方面近傍宇宙未確認領域探査局でしたが、発足してみると何かと忙しい部署のようでした。


「こんなに忙しいとは予想外!」

 と、アニーさんが愚痴っていますが、ミエリッキさんは違います。

「やりがいがあるわ、こんなに仕事があるなんてね、成果を上げれば寵妃の特権、夜伽も夢ではない!」


 クレマチスさんが、

「アニー様、夜伽って何ですか?」

 アニーが恥ずかしそうに、顔を赤らめました。


 でもクレマチスさん、オルメカの官能プログラムをインストールされてから、種族化したのですけどね、つまり超カマトトのようなのです。


 ミエリッキが、

「クレマチス、メイドのいう夜伽ってのはね、ミコ様から最高のオーガズムを頂くことなのよ」

「一度味わうと、思い出すたびに体が恥ずかしいほどもだえると噂があるのよ、どう、私と一緒に寵妃を目指さない?」


「オルメカの者どもはミコ様に侍ることが望み、是非お誘いください!」


「アニー、そういうわけで、よろしく手引きしてね♪」

 どうやらアニーさん、『取り持ち女』まがいの事をする羽目になりそうですね。

 

FIN

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