お名前はクレマチス


 キャビンクルーの一人、ミエリッキ・オッコネンとは、この件以来、親しくなりました。

 年上のお友達、アニーは姉には云えない色々な話をしています。

 アニーが休みなどで、ガリレオ衛星ステーションに来るとよくお茶などしています。


「えっ、結婚するの?相手はだれ?」

 ミエリッキ・オッコネンは近々結婚するようなのです。

 相手はガリレオ航空宇宙パイロットスクールの生徒さん、どうやら学生結婚するようなのです。


「彼が卒業するまで、働かなければね……」

 どうやらミエリッキ・オッコネンさんが、しばらく彼の面倒をみるつもりのようです。


 しかし半月後……


「彼ったら他所の女に……」

 泣いているミエリッキ・オッコネン。

「もう男なんてこりごり!」

「ミエリッキ……」

 

 でも案外にミエリッキ・オッコネンさんはめげません。


 さら二月後、一念発起したのでしょうね。

 ネットワークに職を求め、なんと現地採用されたのです。

 イオステーションの受付係なんてやっています。


「私、アニーのように、男なんて関係ない世界に居たかったの」

 芯は相当に気が強いミエリッキ・オッコネン。

 キャビンクルーなんてしていたのですから相当に綺麗な女性、頭も回るのでイオステーションの人気者になっているようです。


「ミエリッキ、メイドになりたいの?」

「望んではいるけど無理ね、私、二十六なの、もう歳よ」


「特定関係人が推薦すれば清女にはなれるのよ、あとは本人の努力次第ですけど」


「特定関係人?」

「そう、二票いるけど一つは私がなってあげるわ、その資格は十分あるから」


 で、ミエリッキ・オッコネンは清女に目出度くなりました。

 もう一票って?姉のアデラインが推薦してくれたのです。


 二人が出会って一年ちかく、あるときアニーのオルゴールが振動しました。

 ミエリッキ・オッコネンからです。


「元気にしている、もうすぐベティも卒業ね、ガリレオ衛星執政官府に正式に赴任するのでしょう?」

「四月から一緒ね、ところでアニーに頼みがあるの、聞いてくれない?」

 ミエリッキの頼みとは……なんと名付け親になってほしいとの事。


「私じゃないのよ、誤解しないでね、私はミコ様一筋なのですから」

 ミエリッキ・オッコネンは一度、ガリレオ衛星ステーションでミコを見て、寵妃になると固く誓っているのです。


 どうやら女の名前をつけて欲しいようなので、女の子なのでしょう。


「こんどそちらに出張でいくの、アニーは土曜日の夜はガリレオ衛星ステーションに居るのでしょう、なら昼にはこちらにいるのでしょう、どこかで待ち合わせしまませんか、名前をつける相手も連れてくるから」


「分かったわ」


 簡単に返事したあと、ふと、

 ……おかしいわね……ミエリッキ、赤ちゃん、抱いてくる気かしら……そんなことないか、きっとお母さんも連れてくるのでしょうね……


 ……どんな名前にしようかしら?……クレマチスっていい響きね、花言葉は心の美しさ、女の子にはうってつけと思うけど……

 紫の花がとても綺麗ですものね、年中咲いているのもいいわ、元気で美しいですものね、これにしましょう…

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