機械少女(マシンマジカル)マキシママキナ

ユーカン

機械少女(マシンマジカル)マキシママキナ

「遅刻遅刻~」

 私の名前は牧島真紀奈! どこにでもいる普通の高校生。あえて特別な所をあげるとしたら、体が機械でできたアンドロイド(正確にはガイノイド)だってところカナ!

 今は私の通う高校に向けて猛ダッシュの最中!

 なぜかって? それは寝坊したから!

「ペガサス~、今日は早めに起こしてって言ったじゃない!」

「私はちゃんと起こしたぞ。五分毎に十二回くらい」

 この赤く光る電球に翅が生えたみたいな恰好してるのは、お世話機械妖精のペガサス。いっつも口うるさいのに、肝心な時に役に立たないんだから!

「げらげら。水でもぶっかけてやりゃあ良かったんだ」

 同じ形で青く光るこっちは戦闘支援機械妖精のティー・タイム。軽口が得意で、いっつも馬鹿にされる。

「も~、笑い事じゃないよ! これ以上遅刻したら進級も怪しいんだから!」

 その時だった。空が一瞬光ったかと思うと、巨大な物体が遠く離れた市街地に墜落した!

 直撃から一瞬の間をおいて、立っているのも難しいほどの地響きが真紀奈を襲う!

「な、なにごと!?」

 直撃地点にはもうもうと高く土煙が立っている。

「隕石か何かかな」

「いや、ミサイルにちげえねえ。戦争だ戦争だ」

 すると、その土煙がブワっと一気に吹き飛び、中から五十メートルはあろうかという巨大なトカゲの化け物が姿を現した。

「か、怪獣だ~」

 怪獣は天に向かって吠えると、我が物顔で街を歩き回り目に付く建物を破壊しまくる。

「真紀奈、行けるか? それとも学校が壊される可能性に賭けて帰って二度寝するか?」

「とーぜん、戦うに決まってるよ!」

 ティー・タイムの意地悪な質問に力いっぱい答える。

 そして、天に腕を突き上げ、こう叫ぶのだ!

「カモン、マキシマム!」

「maximum ready!」

 説明しよう。機械少女牧島真紀奈は、対怪獣用に作成された戦闘アンドロイドである!

 怪獣と戦うときには、衛星軌道上のスペース・ドックから全長五十メートルの超巨大人型戦闘用換装パーツ『マキナ・マキシマム』を落下させ、それに乗り込んで戦うのだ!

 掛け声と共に二体の妖精から宇宙に向かって光の柱が伸び、次の瞬間、空から巨大なロボットが落ちて……、落ちて……。

 こない。

「あれ?」

 いつもならすぐに落ちてくるはずなのに。

 代わりにどこからかサイレンを鳴らしながらパトカーが近づいてきて、真紀奈の前で止まった。

「あんた、あのスペースドックの持ち主?」

 窓を開けたパトカーから男性警官が話しかける。

「そうですけど……」

「勝手に衛星軌道上に物を停められると困るんだよね。ちゃんと利用料を払うまでは使用禁止だから」

「えっ!? どこで払えばいいんですか」

「市役所だよ。ほら、あそこの……」

 警官が指さした先の建物が、今まさに怪獣に破壊された。

「あっ」

「……。まあ、そういう事だから、頼むよ」

 パトカーは軽快に走り去った。

「ひ~ん。どうしろって言うのよ~」


 続かない

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