第17話 教会とギルド(2)

「…それは教会が関与しているからです。」


「そうなの?」


「はい。理由として回復魔法とポーションを教会が独占しているからです。」


「…独占?」


「はい。ポーションの販売も独占しており、街の商人がポーションを扱うのを禁止しています。」


「…」


「その為、競争相手もおらず、寄付の金額によって、お渡しするポーションの数も決まっているので、値段を下げられないんです。」


「ゲームでは気軽に使いまくってたポーションなのが、こっちでは気軽に使えないってことか…」


「シンゴ、こないだ言ってたよね。ファミルは何で回復魔法の初期しか使えないのかって。」


「あぁ、言ってたな。」


「ファミルに回復魔法を使ってもらうには多額のお布施が必要なの。冒険にも簡単には出れないだろうし、回復魔法を使う機会が少なかったのよね。」


「そうですね。教会には診療所があるんですが、顔を見せて回るだけで、回復魔法のお手伝いはほとんど、させてもらえませんでした。」


ファミルが寂しそうな顔をして当時を振り返っている。


「ピィ。」


「ありがとう。シロガネちゃん。」


「つまり、教会としては今回のことで、さらに聖女様を祭り上げて、教会の権威を引き上げたいのよ。」


「ファミルも大変だな~。」


「…シンゴさんも他人事じゃないですよ?」


「やっぱり?」


「そうよ。その杖があってシロガネが生まれたんだから、教会は欲しがるだろうし。」


「冒険者ギルドからも、杖を欲しがられると思うので、シンゴさんは引っ張りだこですね。」


「…それって杖が、でしょ?」


「「そうですね。」」


「はぁ…」


ため息しか出ねぇよ。


「まぁ、そういったギルドの権利と教会の権利がぶつかり合ってるから、しばらくは落ち着かないでしょうね。」


ナミも両手を広げてお手上げ状態だとアピールする。


「どっちも譲らないですからね。」


ファミルも頭を横に振ってお手上げしている。


「俺も杖が無くなると、ただの冒険者だしなぁ…」


唯一、杖が俺のアイデンティティーだからなぁ。


「杖を売って装備を揃える?」


「それが一番妥当な考え方だけど…どっちに売るんだ?」


「どっちって…どっちに売っても恨まれるんじゃない?」


…あれ?俺って詰んでる?

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