第6話 教会
大きな教会です。聖女様がいらっしゃるからでしょうか、皆さんが見てきます。
聖女様と手を繋いだまま教会に来てしまったので多くの方に、2度見されました。
その後の皆さんの恐い顔。
夜に1人でお外を歩くとカモネギですね。分かります。
教会の奥に通されます。ここは一般人は立ち入り禁止だと思いますけど、入っていっていいんでしょうか。
でも、手を離したくないので仕方ないですよね。
皆も離したくない気持ち分かりますよね?
奥の部屋にはソファーとテーブル。
いい仕事してますね~。ついつい言いたくなるほどにソファーの脚やテーブルに細やかな彫刻が施されてます。聖女様が座るとフカフカのクッションがいい塩梅で沈みこみ、沈みこんだ身体を支えるソファー。いい仕事してますね~。
「お掛けください。」
気がついたら、騎士団はいなくて、聖女様とお付きの方かな?の三人だけ。聖女様が座ると飲み物とクッキーみたいな焼き菓子が出てきた。
…私の前には何も置かれてませんが…お付きの方を見ると睨まれたよ。俺、何も悪いことしてませんよ?
「シンゴさんにも飲み物を出してあげて。」
「…かしこ…まりました。聖女様。」
人ってこんなにも嫌々出すって気持ちを言葉で表現出来るんですね。お付きの方は女優にでもなれるんじゃないか?
「それで、その杖はいただけますか?」
「もらう?いやいや、貸すってお話しでしたよね?」
「そうですか…では、なぜ貴方はあそこにいたのですか?」
「どぶ掃除のクエストを受けて掃除してると、道があって、中に入るとモンスターがいて、そいつを倒すと杖が手に入りました。」
「…ウソですね。」
「どうして、そう思われるのですか?」
「私は聖女です。ウソを言っているかどうか分かるんですよ。」
…あぁ、なんかそんな設定があったな。ゲームではこれっぽっちも使われないが。
「ウソだとしたら、どうするんですか?」
「正直に話して欲しいと思っています。」
「…私にはこの杖しかありません。なので、この杖をあげる訳にはいきません。むしろ、貸し出すのも嫌です。貸し出している間に何があるか分かりませんから。」
「…正直ですね…わかりました。貴方を雇わせていただきます。雇っている間は杖を貸してください。」
「聖女様!?何をおっしゃってるんですか!」
お付きの方が慌てる。
「そうでもしないと貸してくれそうにありませんし。仮に杖を奪おうとすると、死人が出ますからね。」
……聖女様はこの杖の効果を知っているのか?
それにしても…勝手に話がすすんでるな。
俺としてはすぐにでも街から出ていきたいんだけどな。
「分かりました。じゃあ、その卵が孵化するまでの間ならお貸ししますが、1つ条件が。」
「条件?」
「はい。その間は私の命を保障してください。」
「命の保障ですか?」
「はい。その杖が無くなると私には何も身を守る方法がない、ただの冒険者になりますので。」
「…分かりました。その代わり、こちらからも1つお願いがあります。」
「…なんでしょうか?」
「シンゴには教会で暮らしてもらいます。」
「せ、聖女様!何をおっしゃっているんですか!?冒険者を教会に暮らさせるなど、聞いたことありません!」
「そうしていただかないと、すぐに杖が使えませんから。仕方ないですよね。」
「ダメです。教会近くの宿を紹介しますので、そちらで過ごしてもらいます。それでもかなりの待遇です。」
「そうですか…仕方ないですね。シンゴさんもそれでいいですか?」
「あの、宿のお金は出してもらえるんですか?」
「それくらいは出させてもらいますよ。…仕方ないですよね?」
お付きの方はため息をつきながら
「仕方ないですが、宿の代金も含めての報酬になりますので、お渡しする金額は減るんですが、仕方ないですよね?」
「あ、はい。仕方ないですね。」
話がまとまり、終わりが見えてきたと思っていたら、人が走ってきて、聖女様のお付きの方に耳打ちしだした。
「聖女様、お伝えすることがございます。」
そう言って、俺の方を見る。はいはい、お邪魔ってことですね。ご安心下さい。空気を呼んで帰りますよ。
「シンゴさんも一緒に聞いてください。」
…いや、聖女様も空気よんで下さいよ。お隣のお付きの方が驚いてますよ。
「いや、私は部外者なので…これで帰らせてもらいます。」
「ダメです。これは雇い主からの命令です。聖女として、ここでシンゴさんも聞いていただいく必要があると思います。」
う~ん…これは、ゲームに出てきた聖女様が『ここの机の下の床が怪しいと思うんです。なんとなくですが。』って言う、犯人しか分からないことをなんとなくで当てる『天からの思し召し』、通称『聖女が真の黒幕』現象か?
「……分かりました。このままお伝えいたします。杖が見つかった場所を捜索したところ、どうやら別のダンジョンに繋がっているようです。」
「え?」
別のダンジョンに?
……ゲームではそんな設定は無かったぞ…
どういうことだ…
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