第40話

 一撃必殺を願ってオーガの首を狙ったところで、成功しなければ自身が致命傷を、ないしは重傷に値する怪我を負うことになると見たのだ。

 事実、走っている途中で作った植物の人形を首に向かって投擲すると、オーガによって完全に噛み砕かれてしまった。


 オーガの意識は、未だに植物の人形にある。


 その意識が自身に移る前の一瞬の隙を活かし、オーガの足首を確実に刈るのだ。

 エリザベスの手には弓ではなく、空気で包んだ爆炎が剣の形で保たれている。


 魔法を物理的に振るえるように固定化させる、いわゆる魔法剣である。

 魔法で作った剣であるため、矢を当てるよりも爆発力は高く、その破壊力は折り紙付きだ。


 走りを緩めずに、オーガの足とすれ違いざまに、当てた。

 速度と体重を乗せ、自重の掛かっているオーガの足に命中させる。


 当てた瞬間、魔法剣はオーガの足首を容易く溶かして入り込んだ。

 瞬間、熱と光が足の内部に集束し、一際大きな爆発がオーガの足首内部で生じる。

 衝撃と爆発は今までに放っていた矢とは桁違いであり、一瞬にして熱風と黒煙が辺りを包み込んだ。

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