第37話
それは、エリザベスも理解した上での行動である。
矢を番えては発射し、爆発させて煙を上げるのが目的だ。
その煙や爆発の衝撃が、いつしか隙に繋がるように、或いは別の契機によって、隙が生み出されるように、分身と共に走っては微細な攻撃を繰り返している。
それらはいずれも隙を生み出すことを目的とし、隙が生じれば直ちに接近して勝負を決めるつもりでいるからだ。
オーガも、エリザベスが接近による止めを狙っていることを本能で理解していた。
接近後の攻撃に移るその一瞬の機を、慎重に窺っていたのである。
その機とは、不自然ではないように見える状況を、偽の隙を見せることであった。
そのためにも、オーガは攻撃を小振りにしておかなければならなかった。
もっとも小振りの攻撃は、大振りの攻撃などはもう当たらないと理解しているためでもあった。小振りの攻撃とはいうものの、命中しなのなら十分に、致命傷を与えられる一撃ではあるが。
分身の方に命中すれば、その一振りで二~三体が一気に霧散する威力である。
されどそれらの攻撃も、次の止めの一撃に対する布石であった。
両者は次の契機が生死を決めると、お互いに理解しているのだ。
敵の次の行動如何によって、どちらかが致命傷を受けるであろう、と。
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