離人

 3月の雨は苦手だ

生ぬるくて

つんときて

甘い


「好きです」なんて

言わなきゃよかった

いつも言うような冗談にしておけば

何も残らずに終われたはずなのに

本当は笑ってほしかったのに


 胸を刺す甘いコロンの香り

息苦しくて

恋しくて

辛い

私の物にはけっしてならないのに

してはいけないのに


 さよならなんて

したくなかった

後何回これを続ければ

強くなれるのだろうか

涙を流さずにすむのだろうか


 離れてしまうことが寂しいんじゃなくて

離れたことを忘れてしまうことが寂しいんだよ


 3月の雨は

いつもより冷たい

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