剣と魔法と江戸っ子と~人情果し合い指南
宮武しんご
第1話
すたすた、すたすたと大股で往来のど真ん中を若い男が歩いてゆく。道を譲るつもりのひとつもないその素振りにかちんとする者もあるが、その眼付きのおっかないことに気付くと誰も彼もそっと脇に避け、通り過ぎたその後で、何だい今の
フィルは実際の所、どいつかにでも突き当たって大喧嘩でもしてやろう位の
お城の内堀の石垣に腰を下ろし、
「おい、お前さん」
無心になりかけているところへ声を掛けられてハッとする。振り返ると
「私でしょうか」
「私でしょうかも
着流しは足元の小石を救い上げるとお堀に向かって放り投げる。トブンと音がした。
「天下の往来をつったかつったか、今すぐにも人でも斬るか腹でも切るかって
へらへらと笑う。柿色の着流しに紺色の
「お恥ずかしいところをお見せいたしました。
深く頭を下げ立ち去ろうとすると、少し驚くぐらいの勢いで後ろからぶつけるように肩を抱えられる。フィルの頭一つ上ぐらいの上背だ。人間としてはかなり大きい。
「何がご心配には及びません、だい。顔色は真っ青のままよ。
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