僕は今日も消臭剤を吹きかける~昨日寝た女の香りは消しましょう~
あがしおんのざき
序章 クロサキ先生
プロローグ バレました
「それで…本題に入るけど…」
担任の
「君がその…“飲酒”をしてるっていう」
「…」
僕はただ、俯いたまま押し黙っていた。ってか、なんて言えばいいのか分からないし…。
「その…成績も学年トップだし、授業もしっかり聞いてるし…そんなナオト君だからこそ信じたくないの」
「…」
「でも、先生見ちゃった…ような気がするの」
「何を…ですか?」
息を呑む。きっとハッタリに違いない!た、耐えるんだ、僕!耐えるんだ、
「先週の土曜日…繁華街のバーにいたでしょ?」
「っ!」
た、確かに先週の土曜日は繁華街のバーに行っていた。でも…なんで先生が知ってるんだ?
「そんな所行きませんよ」
「それじゃあ、先週の土曜日何してたの?」
「それは…」
先生の表情が確信へと変わる。間違いない、有海先生は先週の土曜日に僕をバーで目撃している!
「やっぱり…バーにいたんでしょ」
「…それが、どうしたんですか?」
ここは一転、無計画な攻勢に転じてみる!どうにかなってくれ、頼む。
「やっぱり…やっぱりナオト君だったのね」
「…」
攻勢は失敗…我が軍は絶望的状況に…。
「あの日、バーカウンターでテキーラショットで外国人と勝負してたでしょ」
「えっ」
思わず声が漏れる。一体どこまで知ってるんだ先生は…。
「その反応…やっぱりしてたのね…」
「それを知って…どうするんですか?」
先生の顔に少し影がかかる。そして、少し視線を逸らして言った。
「本当は、このこと報告しなくちゃいけないんだけど…」
ほ、報告なんてされたら…間違いなく俺はお終いだ。
「今回はしない」
「え…?」
「その…ナオト君を信じてるから。だから、もうあんな事しちゃだめ」
思いがけない優しい言葉。いや、生ぬるいと言った方がこの場合は正しいかも。
とにかく、僕は一命を取り留めた。
「すみません、もうしません」
「その言葉、信じてるからね?…それじゃあ今日はもう帰っていいわよ」
僕はそっと席を立つと、先生と目を合わせないように、廊下に繋がるドアへ歩く。
「あ、これから時間を見付けて面談するからね」
「え…なんでですか?」
「ちゃんと…反省してるか見るため」
再び先生から顔を逸らすと、ドアを開けて廊下に出る。
これは…非常に面倒なことになった。
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