こげつくおもい ‐Web再録‐
だいち
笑んだ瞳に喜びは浮かぶか
時折、この胸を強い感情が過る。
それはいっそ泣き出してしまえたならどんなに楽か。そう思わせる程に己の胸を強く締め付けた。
この感情に結びついている筈の記憶は、此岸にあるのかすらわからない。
結んだ糸はどこへ繋がっているのだろう。それとも、既にそれはぷつりと途絶えてしまったか。この手の及ばぬ場所に揺蕩っているのか。
栓無き事を考えて、今日もルークは一人往く。
何処へ向かっているかなど、分からぬまま。何を求めているのかも知らぬまま。ただ、先の見えない糸に沿う。
だって、そうするしか自分に生きる術はない。
この先で、何かを手にする事の出来る確証など、ありはしないけれど。
活気のある呼び込み、はしゃぐ子供達の笑い声、旅人達が楽しそうに話す声。
ここは王都。ただ、何という国の都かは忘れてしまった。なぜなら、自分の辿る糸の先は、ここではない。そう知ったからだ。誰に言われたでもない、何かを見たわけでもない。何が証拠かも分からないが、ルークはそう確信していた。
ただ、どうせ立ち寄ったのだ。どうせならこの街を観光でもしていこうか。目的はあるが当ては無い。多少の寄り道も、たまにはいいだろう。
偶然にも、今日は祭りが開かれているという。活気に溢れ、同時に笑顔で満ちた王都。ここで暮らす住民だけでなく、他の地から旅人や観光客も訪れているらしい。ここいらでは見かけない見た目のものも多くいる。それに、この国の公用語であろう言語の他に、耳慣れない言葉も混じっていた。
様々な種族、異なる言語。信じるものも、抱えているものもそれぞれで違うだろう。そんな人々は、今日この瞬間は同じ街にいて、同じ祭りを楽しんでいる。
祭り、というのはやはり特別なものだ。垣根、障壁、溝。その他にもそれぞれを隔てる色々なものを超えて、人々は祭りの楽しさを共有する。
雑踏の中、ルークは空を仰いだ。だって、下を見たって自分の視界を占めるのは、人の頭だけなのだ。どうせなら、人の頭よりも祭りの雰囲気のあるものを目にしたい。長身のルークは、人混みからぴょこりと飛び出した頭を傾げてたった一つのその目に青い空を映す。
がやがやと少し下から耳に届く賑わいとは裏腹に、今日の空は驚く程に穏やかだった。建物に垂れ下がる旗や、時たま風が運んでくる紙吹雪や花弁。それらは人々の楽しそうな声に乗って、王都の上を舞っている。その向こうにある空は、王都の祭りなど関係ないというようにどこまでも青く広がっていた。
ルークは暫し大通りを歩き、通りの両側に並ぶ屋台を冷やかして回った。やはり、定番なのか多くの店が食べ歩きの出来るようなものを売っていた。それらも大変美味そうであったが、やはりゆっくり座って落ち着いて味わいたい。
そう考えたルークは、一番の賑わいを見せる大通りから外れ、賑やかながらも少し落ち着いた雰囲気の通りに足を運ぶ。先程の通りとは異なり、ここの通りは自分と同じように落ち着いて食事をしたい者や休憩しているものが多くいるようだった。この通りで、どこか食事の出来る店を探そう。そう考えたルークは、通りの両側に並ぶ店を眺めつつ歩く事にした。
何店か冷やかした後、ここでいいか、と適当に店を決めた。ルークはその長身をかがめ、店のドアを潜った。
背をかがめた体勢を元に戻し、ルークは店内を見回す。結構混んでいるな。どうやら地元に根付いた大衆食堂といった雰囲気で、お客の殆どが馴染みのようだった。しかし一見さんお断りといったような雰囲気は全くない。
「あ、いらっしゃい! お兄さん、ちょっと待っててくださいねー!」
今常連であろう男に接客している店員も快活にそう言った。多くの客も皆笑っている。この店は、客に愛されているのだな。
そう思ったルークは取り敢えず何をするでもなく、邪魔にならない位置で待っている。
「いやー、すいません。お待たせしちゃいまして」
ルークの元にやって来たのは、先程の店員だった。少し眉尻を下げて笑う男は、三十代半ばくらいだろうか。二十代程のものではないが、まだハリを完全には失ってはいない肌を見てそう考える。
「いえ、それ程待ってはいませんよ。大丈夫です」
ルークは店員に気遣わせないよう、笑ってそう言った。とはいっても、ルークの顔のパーツは目しかないので、この笑顔が店員に伝わったかは分からないが。
「重ね重ね申しわけないんですが、相席でも大丈夫ですか? ちょっと今、テーブル全部埋まってしまっていて……」
「構いませんよ。既にいらっしゃる方が気になさらないのであれば」
努めて柔らかい言い方を心がけて、ルークは微笑んだ。
ありがとうございます、と言って店員は再び快活な笑顔を浮かべる。笑顔の似合う男だな、とルークは思った。
「おっさん、ちょっとこのお兄さんと相席してもらってもいいかな」
店員がそう言ったのは、先程接客をしていた男だった。年の頃は、五十かそこらだろう。皺の刻まれた顔のそれをさらに深くし、その男は豪快に笑った。
「おお、兄ちゃんこの店は初めてか!」
「ええ、この街に立ち寄ったのも初めてですし」
「そんでこの店に入れたんなら兄ちゃん運がいいぞ! この店は安い癖にどの料理もクソ美味い。デザートも最高だしな! ぶっちゃけ、お貴族サマお抱えの料理人よりもうまいもんが作れると思うぞ、ここの店長は。まあ、お貴族サマの食ってる料理なんか俺が食った事はねえんだがな!」
そう言って、ルークの向かいに座る男はがははと豪快に笑った。
そんな陽気な男に、他の馴染みらしい客も笑う。
「おいおいおっちゃん。あんまりその兄ちゃんを困らせるんじゃねえよ」
「そうだそうだ。確かにここの料理は美味いが、そんなに一気に話すもんじゃねえ」
「何だ何だ青二才共! 何をどう話そうが俺の勝手だろうが」
「聞いてる奴の事も考えろってんだよー」
にしし、とからかうように笑う青年達に対して、男も口調は荒いながら笑顔のままそう言う。そして、その語気には互いに親愛の情が滲んでいた。
「ごめんねぇ、お兄ちゃん。新しいお客さんが来るとこのおっさんは、というかこの店はいつもこんな感じなのさ。勘弁しておくれよ」
他の客達も、気さくにルークに接してくれる。この店に来てまだ僅かな時間しか経っていないが、この店は本当に良い店だと思った。こんなに客同士が遠慮もせず話せ、初めての客にも気さくに接してくれる。とても居心地が良い空間だ。
「おいアンタら! 人の店で騒ぐんじゃねえよ毎度毎度!」
他のテーブルで接客していた先程の店員も参加して、この店は更に賑やかになる。
「あ、お兄さん注文どうします? おススメはこのミートパイ! 俺の女房、店長が作る料理はどれも絶品なんですが、このミートパイは格別ですよ!」
「おいおい。それはただ単にお前の好物だろうが」
メニューに載っている一つの名前を指差して満面の笑みを浮かべる男に、ルークの向かいの男が口を挟む。
「おっさんもこのミートパイ好きだろうが! というか今日も頼んだだろうが!」
「ああ、好きだとも! 俺の大好物だ!」
「だったらいいじゃねえか!」
「どうせなら兄ちゃんの好物を食わしてやりてえじゃねえか!」
「それもそうだな!」
どうやら彼らの言い合いに一段落ついたらしい。店員が客の男からルークの方に向き直って再びメニューを開く。
「って訳でお兄さん、改めて何が食べたいですか? 良かったらデザートも選んでくださいね!」
満面の笑みを浮かべてそう言う店員に、ルークは少し困ったように笑った。
「では、お勧めのミートパイを……。お二人のお話を聞いていたら是非食べたくなってしまって。デザートはチョコレートケーキをお願いします」
「かしこまりました~。お兄さん、楽しみにしていてくださいね」
そう言って笑顔のままメニューと共に下がっていく店員を見送ると、向かいの男が話しかけてくる。
「兄ちゃん、ここのミートパイは本当に美味いぞ! あれを食べなきゃこの店に来た意味がねえ」
うんうんと頷く男に、少し離れた席に座る青年が声を飛ばす。
「兄ちゃん! ミートパイも確かに美味いがここはオムレツも最高だぞ! 次に来た時はぜひオムレツを食って欲しい」
「それなら俺はサンドイッチを勧める! シンプルだが美味いんだ」
そんな彼らを皮切りにするように、店内の客が次々と自分の好きなメニューの名を口にする。
最後の方は競争の様に言い合っていた。ついには、この店の全てのメニューの名前が言い尽くされてしまった。
皆喧嘩のような口調になっているのに、どこか親愛の情が滲んでいる。暖かみと優しさが感じられる。それが、少し不思議だ。それでも、このような雰囲気に酷く安心してしまうのは何故だろうか。
どこかで感じた事があるような。いつか、どこかで、自分もこのようなやり取りをしたような。
自分に友人がいるかも、家族がいるかも、果ては知り合いが一人いたかすら定かではない記憶に、ほんの少し何かが混じる。
いや、それは元々あったものなのかもしれない。ここにいる暖かな彼らが、思い起こさせるのかもしれない。どこかにあったこの感じが、自分の見える、手の届く範囲にやって来る。いや、本当はもう既にそこにあったのかもしれない。それに、自分が気付いただけなのやもしれない。
「おい兄ちゃん、どうしたんだ?」
「だから、おっさんのせいでびっくりしちまってんだろ」
「ああん?」
「いえ、大丈夫ですよ。確かに少し驚きはしたんですが……」
「ほら、やっぱり!」
「何! ホントか兄ちゃん!」
仲良く喧嘩する彼らに、ルークはいやいやと顔の前で両手を振る。
「いえ、少し驚きましたがそれだけですよ。私のような者にも、こんなふうに遠慮せずに話しかけてくれる事、とても嬉しく思います」
ルークがそう言って笑うと、男は身を乗り出してルークの肩を叩く。
「かあーっ! 兄ちゃんいい男だなあ!」
男と仲良く喧嘩していた青年達や他の人達もわざわざ席を立ってルークの方に歩いてくる。
「本当だな! しかも兄ちゃん背も高いし、きっとモテるんじゃねえか?」
「ホントねえ! あと二十も若ければ、口説いてたかもねえ!」
「いやいや、こんないい男がバーさんなんぞ相手に……」
「なんですって? もういっぺん言ってみなあ!」
「うわあっ! 口が滑った!」
勘弁してくれえ! と、男の悲鳴が響く店内には同時に多くの笑い声が響いている。釣られて、ルークも目を細めた。
叶うなら、この空間はいつまでもこのままであってほしい。自分はきっとすぐにこの街を発つ事になるけれど。
この街の、この食堂に集う彼らには、いつまでもこんな日々を過ごしていてほしい。
それは自分のエゴなのかもしれないが。そう心の片隅で思いながら、願いながら。
ルークは笑みを浮かべる。
「へい、お待たせしました! ミートパイ二つでっす! チョコレートケーキは食後にとびっきりのやつをお持ちしますね」
「おい。俺のアップルパイは?」
「それもお兄さんのチョコレートケーキと一緒に持ってくるよ」
「そうか、ありがとな」
お盆に載せて二人分のミートパイを持ってきてくれた店員に礼を言い、二人はミートパイにフォークを突き刺した。
店員や目の前に座っている男が言っていただけの事があり、このミートパイはとても美味しい。
先程目の前の男が貴族お抱えの料理人に負けないというような事を言っていたが、なるほどこれは確かにそう思うのも頷ける。まあ、自分も記憶の限りでは貴族の口にするようなものを食べた事はないのだが。
そして、ただ美味しいだけではない。何と言えばよいのだろうか。
繊細というわけではないし、特別手の込んでいるものというわけではない。けれど、地元に愛されている、優しさがこの料理の根底にはある気がする。
ただ腹と味覚を満たす為だけに作られた物じゃない。それらが満たされた更にその先にある、何か。その何かすら、満たしてくれる。
ルークは自分が思い浮かべている何かが一体どんなものなのかもわからない。それでも、ルークはその何かが満たされていく感覚を確かに味わっていた。
「美味しいですね。流石貴方達がお勧めして出さった料理です」
「だろう!」
「ですよね!」
ルークが素直にこの料理の感想を口にすると、目の前に座る男と店員の男が同時に笑って同意する。
今更、親しい彼らの笑った顔が似ている事に気が付いた。顔の作りが似ているとか、そういう事ではないのだ。何だか、くしゃりと顔を歪めたところとか、細めた目とか、刻まれた皺とか。多分、そういう細かいところと、彼らの纏う雰囲気が、よく似ているのだ。
優しくて、周りをも、自分のような存在すらも笑顔にしてくれる。そんな彼らが、いつまでも笑ってくれていたらいい。
これはきっと自分のエゴでしかない。そう知っている。
それでも、そう願わずにはいられなかった。
笑顔に囲まれながら、ミートパイを食べ終えた。味も勿論申し分のないものだったが、やはり笑顔に囲まれ、自分も笑顔を浮かべながらの食事というのは楽しいものだ。
そして、少しした後に店員がチョコレートケーキとアップルパイを運んでくる。店内の照明を反射して、どちらもきらきらと輝いている。それはまるで、宝石のようだとルークの瞳に映った。
「おっ! 待ってました!」
「どっちも出来立てですよ~。どうぞお楽しみください」
「ありがとうございます」
なぜか恭しく礼をする店員に、ルークは微笑み向かいの男は似合わねえと豪快に笑い飛ばした。
「おお、やはりデザートも絶品ですね」
そう言って笑うルークを見て、目の前の男はいっそう笑みを深くした。そして、自分もアップルパイを口に運ぶ。美味い! と言って満足そうに笑う男を見て、ルークの目元も自然と緩んだ。
二人で話していたが、自然と他の客も会話に参加してくる。しかしそれには嫌な感じはなく、やかましいという風に感じる事もなかった。むしろ、居心地がとても良い。
楽しく会話をしながら美味しい料理を食べる時間はあっという間に過ぎていった。
帰る事を惜しみつつ、惜しまれつつ。ルークは店を出るために会計へ向かう。何の用もないのに居座っていたら、営業妨害になってしまうだろう。
「とても美味しかったです。ごちそうさまでした」
「こちらこそありがとうございました! またお越しくださいね」
「また一緒に飯食おうな!」
「今度は俺のおススメを食ってくれよ!」
などなど。そんな風に、店員だけでなく客達にも盛大に見送られている。別に、これが今生の別れとなるわけではあるまいに。ルークは照れくささに、ほんの少し苦笑した。
その時、ルークはある事をふと思い出した。今までずうっと気になってはいたものの、尋ねるタイミングを逃してしまっていた事。
「そう言えば、今日は何の祭りなんですか?」
そのルークの問いを聞いた男は、驚いた様子で目を見開いた。
「今日は、この国の王太子様と婚約者様の結婚パーティーなんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、体の奥底がすうっと冷えた。
式は昨日の内に済ませられたみたいでな。今日は国民や観光客も一緒になって祭りなんだ。
そう、男が言っているのだけは、何となく聞き取れた。
そこから、ルークは急速に頭や心が冷えていくような感覚を味わった。今の今まで、触れていた彼らの優しさと温かさが思い出せない。
それでもみっともない様子は見せたくなくて。心配させるような事はしたくなくて。
ルークは極力平静を装って店を後にした。人混みに紛れてしまいたかったが、この長身ではそうもいかない。ルークは足早に通りを外れ、どこか人気のない場所を探した。
そうはいっても、今日は祭りである。どこもかしこも賑やかで、人で溢れ返っていた。
それでもルークは、人目に付きにくい場所を探した。どうしても、今は一人になりたかった。
漸く、ルークが見つけた場所はどこか薄暗い路地だった。大きな街には必ずといっていい程ある、裏路地である。
そこに駆け込むようにして滑り込んだルークは、何が汚れしたかも分からない壁を気にせずそこに背を預けた。そしてそのまま重力に逆らう事なくずるずるとへたり込む。
なぜ、胸の内がこんなに冷えている。そして、それと反比例するように頭は酷く熱いのはどうしてなんだ。
理由など、ちらとも考えが及ばない。
ただ、ただこう思ったのだ。
賑わいを見せ、笑顔と幸せに包まれた王都。そんな場所に、自分のような存在は酷く不釣り合いではないか。ここにいる人々は、皆、皆が幸せだ。
結婚するという当人やその家族はもとより、住民達や果ては直接の関わりなんぞないだろう旅人や観光客までが笑顔を浮かべている。
誰しもが、結婚する二人を祝福している。
その事実が、きつく自分の胸を締め付けた。そして、どうしてだろう。
酷く、酷く妬ましいと思った。
掻き乱れる心の内を、沈める方法など知らない。酷く締め付けるこの痛みの癒し方など、分からない。冷えた心の温め方も、熱く神経が焼き切れそうな頭の冷まし方も。
何も、何も知らなかった。分からなかった。
理解しては、いけないとすら思った。
そう思ったのは何故なのか。
それに思考が及ぶ前に、ルークは掻き乱れる胸の内に翻弄される。
それのいなし方などまだ知らない。この空白だらけの記憶に、この空虚が満ちる心に。
何か、何かかけがえのないものを、この空っぽの空間に閉じ込められたなら。
そう望んだのは、エゴでも何でもなかった。
ただ、自分が自分の為だけに願った。
それだけの事だったのだ。
そして、願いは巡る。時が巡る。幾度日が昇り、月が沈み、季節が巡っただろう。
それでも、幾年時が巡ってもなお、空の青さは変わらない。
でこぼことした、生命を感じさせる木の幹に背を預け、ルークは空を見上げていた。背に感じる生命は、きっと青い空も赤い空も、紺碧の空も薄紫の空だってずっとここで見てきたに違いなかった。
それでも、この木は青い空に舞い散る紙吹雪を、花びらを知っているだろうか。ただ穏やかな一色の空に、色とりどりのそれらが舞い散る光景を、きっとこの木は知らない。
空を見てルークはそう思いふける。そんな彼の鼓膜を、仲間の声が擽った。それと共に鼻腔へ運ばれてきたのは、今日の夕食の匂いだろう。
いい匂い。食欲のそそられるこの匂いの源は、ミートパイだろう。
そう、メニューに当たりを付けたと同時に、何故だろうか。
胸が、ほんの少しつきんと痛んだ。胸の内が、じんわりと温かくなった。
何故、その理由を探す前に、問いは霧散した。
それでいい。だって、ルークは答えを知らない。分からない。
それでも、自身が知らなくとも確かにどこかに存在する。例え誰が忘れたとて、あった事は失われない。それが、引っ掻き傷だとしても心に何か証が残っていたなら。
それが、今へ繋がった糸の先にあるものなのだ。
ルークは仲間たちの顔を思い浮かべ、微笑んだ。その瞳に映ったのは、果たして。
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