第158話 貧乳女神VS不細工主人公
めちゃくちゃムカつく……。蘭に怒られたから、虎次郎をモフリながら、聞き耳をたてることにする。アースにバレない様にしなければ、バレたらアースにまた嫌味を言われる。
「世界樹の様子がおかしいみたいんなんですが……アース様、原因ってわかりませんか?」
蘭め、そんなバカ丁寧に聞かなくていいんだ。教えなきゃ、火炙りにして喰っちまうぞ位でいい。
『世界樹ねえ、そもそも女神様にこの樹の話聞いてないわけ? 聞いてない時点でお話にならないんだけど』
アナスタシアがこの世界樹について知っている?
「……おい、アナスタシアおい。世界樹について知ってる事教えてくれよ」
『…………ウルサイ』
こいつ! 虎次郎に顔を埋めたまま、小さい声で煩いって言いやがった!
「アナスタシア、飴やるからなっ? 教えてくれないと困るんだよ。頼むから素直に教えてくれよ」
『…………晩ご飯のおかず』
ぐぬぬ! 俺の晩ご飯のおかずを要求してきやがった! だが背に腹は変えられない。
「一品だけな!」
『いや! 二品』
ぐううう! 仕方ない……。
「わかった、わかったよ。二品でいいから、教えてくれよ」
ガバッと顔を上げニヤニヤしながら、アナスタシアが俺を見ている。
『そもそもこれ、世界樹じゃないわよ。神樹でもないし、この国の人達が勝手に崇めているだけ。この樹は結界樹って言うのよ。長く世界樹やら神樹って呼ばれていて、通り名の方が有名になっただけよ』
えっ? 世界樹でも神樹でもないのか、通り名の方が有名になったパターンか。でも鑑定とかしたら気付きそうだけど
『あんた、鑑定とかで気付くだろって思ったでしょ? 結界樹はデリケートなのよ。そんな事しなら認識阻害したり、鑑定を誤魔化したりするわよ』
なるほど、「乙女な樹なんだなアナスタシアと違って」
『ちょっと! 私となにが違うのよ! 言ってみなさいよ!』
あれ? 声に出てたか? 試しに「アナスタシア、パンツ丸見えだぞ」
『きゃー!! 変態!!』
「ぐぎゃっ!」
痛ええ! 顔面に蹴りを入れやがった! 鼻血出てないだろうな?
「おっお前なあ! パンツ位で怒るなよ! シズ○ちゃんなて風呂場を丸ごと撮影されても、きゃー! のび○さんのエッチい! で終わるんだぞ!」
『あっアレは子供じゃない!』
「俺だって子供だ! お前だって外見は子供だろーが!」
『あー! 言っちゃいけない事言ったわね! あんた達転生者や転移者が、私を見てロリとか、幼女神とか広めたからこの世界でも幼女の神って広まったのよ! 私気にしてるんだからね! 謝ってよ!』
「知るかバーカ! 俺のせいじゃねえし! お前の見た目の問題だろーが!」
俺達が虎次郎を挟んでぎゃーぎゃー言い合いをしていると
『うわあ。チビ女神と不細工が喧嘩してるよ。キモっ』
俺とアナスタシアに確かに聞こえた、アースが俺達をバカにしたのが。
「おいアナスタシア聞いたか」
『ええ、聞いたわ。あの精霊ちょっと生意気よねえ』
俺とアナスタシアは無言で頷き、アースに近寄る。俺がアースを捕まえ、アナスタシアが何処からだした糸でアースを縛り上げる。
『ちょ! なんだよ! 離せよ!』
暴れるアース。バカめ、アナスタシアの縛り方は亀甲縛りだ、簡単に解けるわけがない。なんでアナスタシアが亀甲縛りを知っているかはこの際置いとこう。
「さーてどうしてやろうかねえ、アナスタシア」
『そうねえヨーイチさん、火炙りなんていいんじゃないかしら? この子ちょーっと生意気だしねえ』
アースは俺達の会話を聞いて、狼狽てやがる。
『チビ貧乳女神! お前、女神なんだろ! 精霊がいなくなったら大変な事になるんだぞ! それに不細工! なんでお前は、精霊を素手で捕まえられるんだよ! 化け物か? まっまさか魔族か?』
『プププ、魔族ですって』
「プププ、貧乳だって」
俺とアナスタシアはお互いの胸ぐらを掴み合う
「ああん!? 誰が魔族だごらあ!」
『どっ何処が貧乳だって言うのよ!」
『いっ今のうちに……』
アースが逃げようとするが、俺達は逃がさない。
「何処へ行くつもりかな?」
『逃げられると思っているのかしら?」
「はあ。二人共、樹に惑わされすぎ」
蘭が俺とアナスタシアを威圧してくる。怖っ!
『ひっひえええ! お助けおおお!』
アナスタシアは、虎次郎の影に光の速さで隠れている。
「はやっ……って蘭惑わされてるって?」
「途中から心の声が聞こえ出してる時点で、おかしいって思いなよ。洋一がキレやすいのは仕方ないとして、アナスタシア様であんなに攻撃的になる訳ないでしょ」
俺がキレやすいのは仕方ないって……。アナスタシアは多分あれが素だと思うぞ?
「多分アース様を護ろうとしたんでしょうけど、それが裏目に出たんでしょ」
アースを護ろうとするってこの悪態精霊を?
『あーあ。結界樹の特性も神獣とイケメンさんには効かないかあ。あのお願いがあるんだけど、イケメンさん結界樹を斬り倒そうとしないでね?』
「えっ? ダメなの?」
師匠、斬り倒すつもりだったのよ……。
『結界樹が無くなったら、この国中に瘴気が溢れるよ。ホムンクルスも君達が倒したんでしょ? 本来この国と神殿を護る神獣なんだけど……彼奴バカだからなあ』
「神獣の事知ってるのか?」
『知ってるもなにも、この樹の真裏の湖で寝てるよ。仕事放棄って奴?』
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