第147話 強引にコンバインだ!


 堺さんと連絡がつかない、まあ前にもあったんだが……。加護は消えてないし、大丈夫だとは思うんだがなあ


『大丈夫だよ?』


「ぽぎゃっ!」


 急に堺さんの声が頭に響く、まじでビックリした。なんでいつもいきなりなんだよ……。


『いやー柊君、こっちも忙しいんだよ? あっちょっと醤油かけ過ぎないで……えっ? 僕の職業? 狩人かな』


 職業? 醤油? どう言う事だ……堺さんの状況が全く読めないぞ。


『僕は独身だよ? イシュタルちゃんこそ彼氏いないの?』


 あっこれわかった。合コンだ……! 圧倒的合コン、皆んなが大好きな合コン、俺も大好きな合コン! 行った事がない合コン! 憧れの合コン! 夢見る合コン! 人が大変な時に合コンしてやがる。クソ! 俺も混ざりたい!


「合コンに混ぜろー!」


「ちょっと洋一……合コンってなに? 強引にコンバイン?」


「いや、まあ最終的にはコンバインが目的だけどって蘭は知らなくて良い話だから」


 コンバインイベント、ずるい! 俺もコンバインしたいいいい! 今の俺の息子じゃ戦えないけど……。


『あっ柊君、邪神の因子が抜けたみたいだね。おめでとう、あっちょっとガイアちゃんその胸が……』


 胸えええええ! 俺の嫉妬と怒りを全て力に変えて堺さんを倒してええ!


『まってよ、オーディン僕はなにもしてないじゃないか。睨まないでよ。えっお前ばかりって……そんな事言われてもなあ』


 オーディン! 頑張れ! 堺さんをぶっ飛ばせ!


『あっ柊君なんか悩み? あー力が弱くなったって事かな? レベル上げしてごらんよ。邪神の因子がなくなったから多少は変わるかもだよ?』


 レベル上げかあ、神殿に行くまでに頑張ってみるかな。堺さんは、爆発してください。


『爆発? ここは地球じゃないから爆発しても平気だけど。ってオーディン! それは反則!』


 堺さんとの通信は、それは反則って言葉共に切れた。


「堺さんは、オーディンに殺されましたっと」


「洋一、なに言ってんの?」


「堺さんは、イシュタル? ガイア? オーディンって人と合コンして、非リアのオーディンさんと俺の嫉妬の力で爆発しろって話だよ」


 蘭が、目を丸くして驚いている。目を丸くした蘭も可愛いな。


「洋一、堺さんは地球の神様達と合コン? してるんじゃないの?」


「それはないかな? いや地球じゃないって言ってたけど。とりあえず堺さんがレベル上げしろって、邪神の因子が抜けたから多少は変わるかもって」


「とりあえずレベル上げは明日からだな。神殿に行く道中頑張ってみるかあー」


 俺は背筋を伸ばし、首をゴキゴキと鳴らす。


「しばらくはパワーレベリングだね。この辺の魔物は活性化したままだから、ゴブリンやスライムにも殺されるかもしれないから」


 活性化の影響ってまだ残ってるのか……。ゴブリンやスライムにも殺されるって、完全に異世界1日目じゃないか。1から始める、レベル上げって事かな。



「さー洋一君! 行こうか!」


 師匠のテンションがおかしい、なんでこんなにハイテンションなんだ?


「師匠なにかありました?」


「えっ……いやなにも」


 下手くそな口笛を吹いてごまかす師匠。挙動不審だし、絶対なにかあったな。


『ふあー。腰が痛い……葵もっと手加減しなさいよ』


 アナスタシアが、腰を摩りながら歩いてくる。


 葵……


 手加減……


 腰が痛い……


 ピピピピピピピピピピピピピピピ


 やったな? やったんだな? アレをやったんだな? 童貞騎士からパラディンに進化できる、男と女の秘め事をしたんだな……!


「あっあああああ! 師匠まさか!」


 俺が師匠とアナスタシアを指差し狼狽えていると。フラフラとリュイが飛んできた。


『ヨーイチ朝からうるさい……。昨日の夜は、葵とアナスタシア様がうるさくて、寝不足なんだから静かにしてよ』


 これはもう確定だろおおお! 


『全く、マッサージ下手すぎよ。次はもっと上手にやってよね?』


 マッサージ? 夜のマッサージ……鼠径部そけいぶか!?


「はっはい! お任せください!」


 師匠が、アナスタシアに敬礼をしている。くそっ! 羨ましい!


「夜のマッサージなんて羨まぶべらッ!!!」


 顔を真っ赤にしたアナスタシアにぶん殴られた。


『あっあっアンタ! 女神に向けてなに、とっとんでもないセクハラ発言してんのよ!』


「えっ? だって師匠と、師匠のエクスカリバーであのその……」


『モジモジしないでよ! 私がセクハラしてるみたいじゃない! 葵にマッサージして貰っただけよ、鎮魂で疲れたし、3日も放置されたからね……』


 あっそうなの? 良かった。師匠は童貞じゃないと、師匠じゃないもんな。


「フッ洋一君━━。まだまだだね」


 某王子様みたいに決めてきやがった! 悔しいがめちゃくちゃサマになっている。


『次は流国に行きたいーい! 恋の国い!』


 リュイはまだ勘違いしてるが、まあいいか。現地に行けば恋愛が関係ないってわかるだろ。


「俺レベル上げしたいんです! 師匠協力してください!」


「嫌だ!」


「えええ〜。アナスタシアやリュイを護るからとかですか?」


「もちろん! 僕は貧乳の騎士でもあるからね」


 うわあ……いっそ清々しいよ。貧乳の騎士なんて、多方面から怒られそうなジョブないだろーに。アレ? 師匠のフードがモゾモゾしてる? なんだ? 


『あら? 葵、またどっか行ぐの? おらはこごさいっから、頑張ってね。バーニアど遊んでっから』


 あの訛りは、風の精霊のウインだったかな? バーニア寝てるから遊んでくれないと思うぞ? ウインはフードから飛び出し、エレン爺いの工房へ飛んで行く。自由過ぎるだろ!


「とっとりあえず、俺と蘭とアナスタシアと師匠とリュイで流国に行くって事でいいのかな?」


「良いんじゃない? その間に少しでもレベル上げしないとね」


「強くなるぞー! ブバッ!」


 師匠に頭を殴られた……痛い。


「洋一君、いきなり叫ばないでよ。耳が痛い」


 普通にクレームを出された……。

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