第109話 棚上げ星人現る現るう!
エセ外人とかした、亮を放置して、俺達は皇国の中心地に入る事にした。聞き取りにくいし、フルチンに直ぐになろうとする奴のコントロールとか、無理ゲー過ぎる。
「すげえなこの結界。マジックミラーみたいになってんだな」
「ここまで、高度な結界を造るなんて、亮凄いわね」
「ワタシガンバタネー! ガンバガンバネー! ベリベリハードネー!」
皇国の中心地は、綺麗に整備されていた。アスベルク王国によく似ている。アスベルク王国との明確な違いは、緑が多く、一軒家の庭には必ず木が生えている。城は、多少壊れているけど。
『なんか、良い国ー。緑いっぱいだし』
「亮、神殿の反応がないんだが……ここには神殿がないのか?」
「シンデン? オーワタシワカラナイナネー」
目を逸らしながら言っても、説得力はないんだぞ?
「ヨーイチ、神殿は確か城の中に「オー! シロニハ、ハイレナイネー! ノーノーネー!」えっ?」
亮め、レイ先生の話を遮るとは、良い度胸だ。城の中に絶対秘密があるな。下手したら神殿はもう無いかもしれん。
『城に雷砲撃つ? ドカーンって』
「いや、撃たないよ! 城の中に人がいたらどうすんだよ!」
『えー? 城の中誰もいないよ?』
いないのか? いないって言うか……人がいない? 気配すら、ないんだが……
「師匠、人の気配がしないんですけど。どう思います?」
「ん? 人はいるよ。なんでか知らないけど、地下にいるよ? 避難してるんじゃない?」
「なるほど……」
さっきの黒龍のせいで、皆んな避難してるのかな? じゃあいいか。雷砲を取り出し、城に向けて構える。
「リュイ! 充電だ!」
『ガッテン! フルパワーでいくよー!』
━━バチバチバチバチ
雷砲にリュイのエネルギーがチャージされていく。格が上がった、リュイの雷は凄いぞ! 俺が痺れる位だからな!
「ノー! シロコワスノダメネー!」
必死に止めてくる亮。
「はあ。二人とも前に創造神様に言われたでしょ? 神殿を破壊するなって」
「でもさー蘭。神殿の反応が無いし、多分もう亮が壊してるぜ」
チラリと亮を見てみると
「ノーノーノーノーノーノー!! ワタシワカラナイナネー!」
しゃがんで耳を塞いでいる。100%犯人だ、亮は必ず関係している、これは間違いない。
「と言う訳で、ファイヤー!」
引き金を引く振りをした瞬間、亮が土下座をした。
「シンデン、チカニアリマース。ショウキヲフウインシテマース、シンジュウヲペットニシタラ、ワタシオコラレマシター。イラツイタカラ、ミンナチカオクリニシマシター」
(訳:神殿は、地下にあります。瘴気を封印しています。神獣をペットにしたら、エルフの皆様に責められました。腹が立ったので、エルフの皆様を地下に閉じ込めました)
「シンデンコワスト、ペットシニマース、チカモツブレマースミンナオダブツデース。ミンナチカデネテイマース、シニマース」
(訳:神殿を壊すと、神獣が死にます。エルフを閉じ込めている、地下の場所も壊れます。そうすると皆さん死んでしまいます)
気持ち悪いくらい、長い説明をしてきやがった。待てよ? 神獣をペットにした?
「神獣は、瘴気に当てられて、堕ちた神獣になっていなかったのか?」
「ソノママペットニシマシターショウキヲフウジル、カナメニナッテマース」
「堕ちた状態を屈服させて、ペットにしたのか……。控えめに言っても、ゲスな話だな」
「ソウシナイト、コノクニオワテマシター」
「成る程ね、強引に契約して既に堕ちた神獣を、リサイクルしたのか」
師匠のリサイクルって言葉には、賛同できない。神獣は物じゃない。物じゃないんだ……。
「洋一、大丈夫。わかってるからね、早く解放してあげよ?」
蘭が優しく、羽根で頭を撫でてくれる。蘭の優しさに俺は、いつも救われている。ありがとう蘭。
「あっ……ああ」
「カイホウデキルネ? ワタシノチカラデハデキナカッタネーコロスノハデキタケド、ワタシヘビスキダカラ、コロセナイネー」
そうか……亮は神獣を倒せたのに、倒さなかったのか。蛇が、好きだからと言っているが、きっと同情しちまったんだな。
「エルフタチハ、ケガレタマジュウヲコロセッテイッテタネー。セカイジュニアクエイキョウダッテ」
亮の目から、一筋の涙が零れ落ちた。ゲームだNPCだと、騒いでいたがコイツは優しい奴なんだな。だから封印して、エルフは眠らせたのか。
「俺達が、解決してやる。だからもう泣くな! 男だろ!」
亮の肩を抱き、慰める。こいつも、辛かったんだな。神獣を護る為に結界を張って守ろうとしてたんだな。よし! 俺に任せろ、絶対解決してやる。望む結果には、ならないかもしれないが……。
「洋一君は、よく泣くよね。僕が、見ただけでも何回泣いた事か……」
「洋一は、感受性豊かですから……それに、今は呪いのせいで、精神も幼くされていますから……」
『アタチ知ってる、桜から聞いたコトワザ? にあったよ! 棚上げ星人だって!』
リュイ、棚上げ星人なんてことわざは、どの世界にも無いからな! たまには、かっこ良く決めさせてくれよ……。なんで、俺がカッコ良くきめようとすると、皆んなで茶化すんだよ。悲しくなるだろーが!
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