第77話 治療行為であって、セクハラじゃない!
邪神の因子を消さなければ、死か魔族化の二択。しかも本人に、自覚症状は無く、なにがきっかけで発症するかも不明。潜伏期間、感染経路も一切が不明。
ファンキー爺いが、きちんと説明しなかった事が悪い。尻を撫でて、消す以外、なにもわからん。
「ファンキー爺いめ、ちゃんと説明しろよな……」
「(洋一が、悪いんでしょ。茶化したりするから)」
『(自分で言いたかった事を、先に言われたらアタチでも嫌な気持ちになるよ!)』
ぬううう、二人して俺を責めるんじゃない! それよりこれからが問題だ、邪神の因子を消すには対象の尻を触らなきゃいけない。
ケイナさんは、俺を嫌っているから上手くいく自信がない。さらに言えばお姫様の尻を撫で回したら不敬罪で打ち首獄門だろうなあ……。ああ憂鬱だ……。
「邪神の因子を消すには、ヨーイチ君が尻を撫でる必要があるのか! 最近、ケイナが日に日に粗野になっていたのも邪神の因子が関係があるのかな? 帰ったら今のステータスと血液を取らなければ!」
ケルトさんはずっとぶつぶつと、採取、研究、と呟きながらニヤニヤしているし。
「この! 不埒な粗チンめ!」
「マスターは、静かにしてるでございます!!」
フーシェンはアーレイにかかりきりだし、アーレイは粗チン、粗チンうるせえ……。パーフェクトボディになったら覚えてろよ。
♢ケルトの館 ケイナの部屋
「いくら師匠の頼みでも、この変態に尻を触られるのは嫌っす!」
ケルトさんが説明した瞬間に、シュバッと部屋の隅に移動し俺を指差しながら、全力で拒否してくる。
「我儘を言うんじゃない! 尻を触らなきゃ命が危ないんだぞ!」
ケルトさんが怒鳴ってるが、尻を触らなきゃいけないと言う事実のせいで、めちゃくちゃケイナさんに抵抗されている。
「尻を触る治療なんて、あるわけないっす! 騙されてるっす! 尻を触りたいだけっす!」
両手で尻を隠しながら叫ぶケイナさん。これじゃ痴漢扱いだよ。
「部屋に魔法までかけて壊せないようにして! そんなに尻が触りたいっすか! 娼館にでもいくっす!」
フシャーって威嚇されるし、まあ嫁入り前の身体を触られるなんて嫌だろうけど。
「いい加減にしないか! ヨーイチ君は、君を助けるために言ってるんだぞ! このままじゃ君は、死ぬか魔族になる! 魔族になれば討伐されてしまうんだぞ!」
「━━━━グッそれは、でも……」
「蘭さんフーシェンさん、魔法で気絶させてくれ、話にならん!」
ケルトさんが、ブチ切れた。
「(フーシェン様は、アーレイを抑えるのに精一杯だから私がやるよ。
その場に倒れ、眠るケイナさん。これ強姦と変わらない様な……。
「ささっ。ヨーイチ君! 奴は眠りましたぜ! 今のうちにやっちゃいましょう!」
ケルトさん、下っ端感が半端ない……。犯罪臭が、半端ない……!
「あっはい……」
俺は服の上からケイナさんの尻を触る。やっ柔らかい! めちゃくちゃ気持ちいい。女性のお尻って……最高だ!
『服の上からじゃなく、直に触らないとスキルは発動しないんじゃ』
頭の中にファンキー爺いの声が響く。マジかよ、完璧にセクハラじゃないかよ。いやまあ既に、セクハラだけど……!
形の良い尻をあまり見ないように……尾骶骨から尻尾が生えてる! さっ触りたい……だめだ、治療だ、治療、そう俺はDr.洋一だ。医者は、セクハラ的な感情は抱かない! すべすべつるつるで気持ち良い、なんて考えはきっとない!
俺の手とケイナさんの尻が、淡く光り始める。
「おお! 凄い! 実に凄い!」
ケルトさんは大興奮してる、この力を使うのって想像以上に疲れるぞ━━意識がもっていかれそうだ……。
光が収まる。
「本当に、嫌な感じが消えたのじゃ……嘘じゃなかったのじゃ……」
「直ぐに、検査をしなければ!」
ケルトさんは、ケイナさんの血を取り鑑定をしている。ケルトさんが、ワナワナと震え出した。
「ああああ!! パーン様の加護が宿っている! 良かったなあケイナ━━! よかった、これで私と同じ待遇を受けなくて済む様になった……」
待遇? なんなんだ? 話が見えない……。
「えっ? なんの事?」
「あっああ、すみません。ケイナと僕には生まれつきパーン様の加護が無く、王宮から隔離されていたんです。獣人には、必ずパーン様の加護がつきますから……異端者扱いですよ。一時期は牢にいましたしね。今の王に変わった事で、命は助かりましたが……結局王宮にはいられなくなり、今の館で暮らす事になったんです」
邪神の因子を消したら加護が芽生えた? いや元からあった加護が正常に機能するようになったのか? わからん。
「(それも気になるけど、ケルトさんも王族なのか、聞かなくていいの?)」
あー確かに。王宮に居られなくなったって言ってたもんなあ
「ケルトさんも王族なの?」
「ああ、立場だけで言うなら、今の王の弟にあたるよ。ただ母は違うよ。それに僕には、加護がなかったから身分はかなり、低いけどね」
「おお、王族の人だったのか気付かなかったなー」
「あはは言ってないしね。だから末の妹のお目付役って名目で、好き勝手に研究させて貰ってるよ。もちろん極秘で頼むよ?」
悪戯っ子みたいに笑うケルトさん。言いふらす相手もいないし、言うつもりもない。他所様の家庭に口出しするもんじゃないしな。
「(兵隊が沢山こっちに来てるよ。多分雷砲のせいで)」
ゲェ! マジかよ、まああんだけデカい音出せば、仕方ないか。
「ケルトさん俺達は、もう行きます。残りの神殿も探さなきゃだし」
「せめてなにか、お礼をしたかったんだけど……」
丁重にお礼を辞退し、アーレイとフーシェンを連れ館から出る準備をする。
「(洋一、フーシェン様の神殿にはケルトさんとアーレイ以外入れないって伝えて)」
「後フーシェンの神殿には、ケルトさんとアーレイ意外入れないからそこんとこよろしく!」
「あっああ! わかった」
「じゃあね、ケルトさん!」
俺達は転移し、一度フーシェンの神殿に飛んだ。
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