第62話 ラプダの狙い
俺は、非常に難しい選択を迫られている。それはエロフな、エロフの聖地に巡礼しに行くか、ケモミミ達とハイパーモフモフタイムを堪能しに、獣王の国に行くか。
「うああああ!! 悩む! どうすれば、どっちにすれば正解何だ!」
「洋一、アスベルク王国にもあるはずの創造神様の神殿は探さないで良いの?」
「あそこはこの前迷惑かけたばかりだからダメだ。それに精霊教? の過激な奴等もいたしな。しかも、アスベルク王国の神殿の反応が弱いんだよなあ……なんかあるんだかないんだか、曖昧ミーマインなんだよ」
神殿レーダーを起動すると、頭の中に3Dマップの様なものが広がる。アスベルク王国の反応は、めちゃくちゃ弱い。行った場所が、王都だけだったからかな? このマップ俺が行った場所しか、表示されないポンコツ仕様だし。
「エアリ皇国は、おすすめしないわよ? 人間だからって差別される可能性があるから……」
「レイ先生が、着いて行っても?」
「んー私は、国を捨ててアスベルク王国にいる身だから、いらぬ問題が起こるかもよ?」
なら仕方ないな、ケモミミパラダイスに行こう。
「一度も行った事のない場所だから、私の転移で行けないしね。洋一、ある程度は歩くんだよ? わかってるよね?」
「おう! エレン爺いに、防具とかかなり軽量化の魔法をかけて貰ったし大丈夫だ! エレン爺い、レイ先生行って来るね!」
「ワシャシャ、防具や武器に違和感が有ったら直ぐに戻って来い!」
エレン爺いに、頭をガシガシと撫でらろた。
「ヨーイチ絶対に無茶しちゃダメよ? 蘭ちゃんの言う事を良く聞くのよ?」
レイ先生の中では、蘭が保護者で俺は子供か、トホホ。
「バーニア様、二人の守護をお願いします」
『うーん。めちゃくちゃ眠いけど、了解ー』
バーニアに頼んで、大丈夫なのだろうか……凄く心配だ。
『よっしゃー!! ヨーイチ行くわよ! アタシに着いてきなさい!』
「リュイは、アバドン獣国の場所知ってるのか?」
『えっ!? 知らない!』
凄い笑顔で、言い切りやがった。可愛いなこんちくしょう!
「はあ。リュイ様、洋一、地図は私が覚えたから私が案内するね」
流石蘭! 頼れる女No.1だぜ!! ナイスヒロイン!
「地図が正しければ、アバドン獣国の位置は、アスベルク王国から西にあるわ。転移で、そこまでは飛んであげるけど、そこからは馬車や歩きになるわよ」
「馬車!? マジかよ! やっぱり異世界と言えば馬車だよな! 乗り心地最悪で尻が痛くなる奴!」
馬車に乗れるぜええい! ヒュー!
「はあ。とりあえず転移するよ」
「『はーい』」
♢
転移で着いた場所は、少し寂れた街外れだった。
「蘭、なんでこんな場所に?」
『ボロっちい場所ね』
「転移でいきなり現れたら、騒ぎになるでしょ? リュイ様もいるんだから」
それもそうか。だけど王国は、賑わってたけど、やっぱり貧富の差があるのかな? とりあえずそこの村人Aに聞いてみよう。
「すいませーん、アバドン獣国に行きたいんだけど馬車とかありますか?」
「坊主一人で行くのか? 見たところ装備は一丁前だが……坊主探索者か?」
「違います! 冒険者です!」
村人が訝しげに俺を見ている。冒険者舐めたらあかんでえ!
「ボウケンシャ? なんだいそりゃ? 今子供達の間で流行ってんのか?」
「いやまあ……なんかそんな感じです!」
「あんまり親を泣かすような事するんじゃねえど? それと獣国に行きたいなら、馬車はダメだ。足場が悪過ぎて走れねえ。だからラプダに乗ってくのがええんだが……坊主は、足が短いからなあ……」
おい! 足が短いって言うな! 気にしてんだよ! 座高No.1の俺を馬鹿にしやがって!
「誰が、座高No.1だ!」
「ザコウ? 坊主はわけのわからない言葉ばかり使うなあ。頭、大丈夫か?」
失礼な村人Aめ! クッソー! 腹立つ!
「(洋一、ラプダの事聞きなよ)」
「名もなき村人Aよ、ラプダとは何かね?」
「名もなきって……オラの名前は、ガイナスって言うんだが……まあええか。着いてきな、見せちゃる。うちのラプダは立派だぞー!」
ガイナスって何でお前そんなカッコいい名前なんだよ!! 俺と変えろ! このキングオブ村人Aめ!
ガイナスに着いて歩いて行くと、日本で言う牧場の様な場所に着いた。
「ここが、オラの牧場だ」
ガイナスが、ピーっと指笛を吹くと、虎と似たような体格をした、黒色のトカゲが、ゾロゾロと現れた。
「おー! これがラプダ?」
コモドオオトカゲ、みたいだな。
「んだ! オラの自慢のラプダだ。こいつらは頭良いぞー。何せ乗せた奴が死んだら、勝手に牧場に帰ってくる。更には死んだ奴の装備品を回収してくる知能もある! 素晴らしいだろ!」
「死んだ奴の装備品回収って、ダメだろ……」
頭いかれてんのか?
「死んで、野党や盗賊ゴブやオークの物になるくれえなら、オラが探索者ギルドに持ってくんだ。遺族が、回収に来たら遺族に返す。来なければ、ギルドが買い取ってくれる。素晴らしい取り決めだろ?」
うっうーんそうなのかな? まあ遺族が回収出来るなら良いのかな?
「で? どうだ? ラプダに乗ってみるか?」
「おう!」
ラプダが、俺を見るなり鼻で笑って去って行った。
「おい、鼻で笑って居なくなったぞ」
「あちゃー、舐められちゃったなあ。ラプダは、自分よりはるかに弱い奴は乗せないんだ」
俺の弱さで、ラプダが去って行っただと!? 悲し過ぎる! だが、一匹の赤い色のラプダが俺を見ている。
「あっそいつはダメだぞ! オラでも言う事聞かねえんだ」
ふーん聞かん坊か。おっ近づいて来たな、可愛い奴め。頭を撫でっ……っ撫で……っ撫でようとしたら、かわしまくりやがる。
「ゼーゼーゼーゼー。何で躱すんだよ!」
俺が肩で息をしていると、ラプダがペロリと尻を舐めてきた。あはは此奴め可愛い奴だ。
「……ウッホ」
この時蘭は気付いていたが、俺は、このラプダが俺を狙っているなんて気付かなかった。
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