第39話 道化師


「(桜、窓の外から、こちらを見てる奴等が三人いるわ。レベルは、一番高くて30。しかも、武装してるわ)」


 桜は、蘭からの念話で、洋一達に気づかれぬ様外を警戒する。


「(蘭ちゃん、無力化できる? 私が、やっても良いんでござるがどうするでござる?)」


 蘭は、ステータスを覗き見る。


リン・ソウラ

30歳

男性

職業 精霊教神官


称号 神官 暗殺者


レベル20

体力300

魔力450

攻撃力670

防御630

素早さ700

運45


スキル

暗殺刃アサシンエッジ

火魔法 水魔法 毒魔法

消音歩行サイレントホコウ

瞬歩しゅんぽ

精霊視


レニ・ハリワナ

34歳

女性

職業 精霊教神官補佐


称号 神官補佐 暗殺者


レベル26

体力150

魔力600

攻撃力305

防御410

素早さ500

運50


スキル

雷魔法 氷魔法

消音歩行サイレントホコウ

瞬歩しゅんぽ

杖術

精霊視


 1人の少年のステータスに、蘭は驚く。


草薙 勝利くさなぎ しょうり

10歳

職業 ¥○+%¥〒^○


称号 暗殺者 *%¥+○〒^<¥*


レベル10

体力100(460) ※()内は本来のステータス値

魔力150(700)

攻撃力50(750)

防御100(750)

素早さ300(1000)

運120


スキル

暗殺刃アサシンエッジ

消音歩行サイレントホコウ

瞬歩しゅんぽ

サイレントスラッシュ

精霊視

隠蔽(スキルやステータスを隠蔽できる)


固有スキル


(呪い解除) ※()はスキルにより隠蔽中


スキル付与(自分のスキルを他人に貸し与える事が出来る、効果範囲は自分と相手の距離が30m以内である事)


加護

#*+¥<%^〒+加護


「(固有スキル、初めて見たわ。光一や紗香にもなかった。今まで、ステータスを見た人の誰にもなかった。それに隠蔽してるみたいだけど……呪い解除のスキルがある、あれなら)」


「らーん、らーん」


 洋一の呼びかけに、やっと気付く蘭。


「洋一、どうしたの?」


「なに、警戒してんだ? 街中でモンスターか?」


 蘭が、凄く警戒している。俺にはそれが、手にとる様にわかる。何年も一緒にいた家族だから、当たり前なんだけど。


「あらん? 王都には古代魔道具で結界がはってあるからモンスターは、侵入出来ないと思うけどん?」


「違うわ、精霊教よ。洋一にバレない様に、桜に話した意味が無かったわね、武装した男性と女性と子供よ。精霊教の神官と神官補佐どちらも暗殺スキル持ちよ」


「精霊教の暗部ねん。面倒ね、貴方達はここにいなさい。レベル20程度でしょん? 私が、お仕置きしてくるわん」


 ライルはクネクネと腰を振りながら、外に出て行った。


「うーん、大丈夫かな? 1人だけ強い子がいるんだよね。ステータス擬装してるし、本気の実力を、見せるかどうかはわからないけど」


『あーまた来たのかあいつら。いつも適当にあしらっているんだけどなー。はーめんどくさ』


『バーニア、あんたがきっちり潰さないからよ!』


『えー多分、今日の目的はリュイだよ。僕は、こないだあしらったばかりだし』


『あっあたち?』


「誰が狙いでも、蘭がいるから、万が一はないとして……子供まで、戦いに出てくるのかよ」


『ヨーイチ、この世界じゃ当たり前だよ? リュイが、なんで君に教えなかったのかは、わからないけど。常識だよ? ライルより、強い子供もゴロゴロいるしね』


 ライルより強い奴も沢山いるのか、すげーな。だけど子供に戦わせるなんて、やっぱ異常な世界だな。


『あーヨーイチが、また難しい顔になっちゃった』


『僕のせい?』


「洋一君は、優しいでござるな。地球の常識に当て嵌めたら、この世界は死生観も緩いでござる。それ故か、子供に戦わせるなんて事も沢山あるのでござるよ」


 桜さんの、言ってる事はわかるんだけどなあ。


「洋一。ライルが敵を倒したみたいよ」


 強っ! まだ出てってものの2、3分じゃないか。ボコボコになった男女が鎖で縛られてるし。ん? 子供を連れて来たのか? 誘拐か?


「ライルさん、誘拐ですか?」


「あらん人聞きが悪いわねえ。ちゅうしちゃうぞ?」


「ひっすみません!」


 ファーストキスが、ライルなんて嫌だ!


「こんにちわ」


 抑揚のない声で挨拶をする、黒髪黒目でガリガリな少年。服もボロボロだ。


「おっおう、こんにちわ」


『君、僕達が見えてるよね?』


「はい」


『なにしに来たの?』


「精霊を捕まえろって、命令をされたから来た」


 精霊を捕まえろって、すげえ命令だな。そんな雑な命令をしたのが、この男達か。ゲス野郎共目。


「精霊を捕まえるのは、だめでござるよ?」


「それは……命令ですか?」


「命令じゃないけど、常識でござるよ」


 桜さんは命令って言葉に怯みながらも、説得を始めた。


「常識?」


「うっうーん。とにかく精霊達も生きてるでござる。だから無理やり捕まえたりしては、ダメでござるよ?」


「ふーん」


 わかったのか、わかってないのかその視線は虚空を彷徨っている。


『魂が歪んでるわね。なんて言うか、一つの魂になにか別の物を混ぜ込まれた様な感じで』


 少年の目がリュイを捉え、ケタケタと、笑う。


「内緒、内緒、だよ〜」


 少年は、薄ら笑いを浮かべている。


「怖っ! お前、暗いな!」


 俺の発言に皆んなの視線が集まる。少年も俺を見ている。少年は、いきなり俺を指差し


「君……化け物。だから怖い」


「怖いか? 俺は、普通だけど」


 失礼なガキだな。俺の何処が怖いんだ。


「優しいお兄さんだよ?」


 笑顔で俺が、手を差し伸べると少年は飛び退き、天井にぶら下がる。なんちゅう跳躍力だよ、桜さんより忍者じゃねえか


『ヨーイチは、静かにしてて!』


 リュイに怒られてしまった。


 蘭が、最大限の威圧をドアに向けて、急に放った。俺でもビビるくらいの。あんなに警戒した蘭は、初めて見た。


「おっほ、怖い怖い。私は、ショウリ君を迎えに来ただけなんですけどね」


 ドアが、開いたわけでもないのに、いつのまにか部屋の中に金髪のピエロがいた。ピエロはクツクツと笑っている。


「さっショウリ君。帰りますよ? 神獣がいたんじゃ精霊を捕まえるのも、難しいですからね」


 少年は、顔を青くしながらピエロの方へ天井から降りて行く。


「良い子だ」


 ピエロは妖しく笑っていた。


「ちょっと待ったー!!」

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