第34話 変態○面参上!!


♢アスベルク王国 王城 桜の部屋


 豪華絢爛、煌びやかな部屋。キングサイズのベッドにステンドガラスまである。なんだか、良い匂いがする。


「よっと、着いたでござる。とりあえずお爺ちゃん呼んで来るから、ここで大人しくしてるでござるよ?」


「『はーい』」


 辺りをキョロキョロしながら、気の抜けた返事をする二人。


「なんか、不安でござる。蘭ちゃん、頼むでござるよ?」


「大丈夫よ。二人の手綱は握っておくから」

 

「では、しばし待つでござる!」


 桜がいなくなると、2人はニヤニヤしだす。


「先ずは、この部屋から探検をしたいと思います!」


『らじゃ!』


「らじゃじゃないわよ。女性の部屋を漁るなんて、犯罪よ?」


 犯罪? うーん犯罪は困る、だがあの箪笥から妙な力を感じる、具体的にはGカップ的な匂いが……!


「そこの箪笥から、冒険の匂いがっ!」


『これは確認するしかないわね! とうっ!』


 俺とリュイが、箪笥に走り寄り、引き出しを開けようとするが開かない。


「リュイ、開かないぞ!」


『むむむ、魔力で護るとは秘密の匂いがする!』


 2人で顔を真っ赤にしながら、箪笥を引っ張る。


「『ふんぎぎぎぎぎぎぎ』」


「諦めなさいよ」


「『でいやあおああああああああ!!』」


 バキッ 箪笥が壊れ、中の洋服や下着が宙を舞う。おう……ナイスパンティ。


「『あっ』」


「おっおい。壊れたぞ」


『ちょっと力を込めすぎたかしら? でも下着や服しか無いわよ? 冒険は何処?』


 目の前にあるじゃないか! Gカップやらパンツやらのお宝の数々が!


「洋一達、箪笥を壊しちゃってどうするつもり?」


『うーん? 私の力で証拠事消しとばす?』


「あーいや、それは無しだ。宝が、失われる」


『宝ってさあ、これ下着じゃない? 金銀財宝を宝って人間は、言うんじゃないの?』


「ふっ……それは、二流三流の話さ……」


 流し目で、キメ顔をする。効果音があるなら、キラーんって感じだろうな。


「はあ。とりあえず直すから、2人は隅っこにいて」


 蘭が、魔法でささっと箪笥を直してくれた。落ちていた宝を、箪笥に収納する。


「よーし! リュイベッドで、遊ぶぞ! とう!」


『イエーイ!』


 ボヨンボヨン 

 

 スプリングなんて、無いはずなのに、圧倒的な柔らかさ、これはウォーターベッドか!?


「やばい……尋常じゃない柔らかさだ。人間をダメにするクッション以上の衝撃だ! これはもう、起き上がれない……」


『すごーい! ふかふか! 新感覚!』


「あっあの、蘭ちゃん。私のベッドで、2人は何を……」


「桜、お帰り。2人は、まあはしゃいでるのよ」


「箪笥が、和風になってるような……」


 やばい、箪笥に桜ちゃんと偉そうな爺さんの視線が釘付けだ。


「たっ箪笥は、まっ前から、そんな感じじゃなかったかな? なっリュイ?」


『そっそうよね。前からそんな形だったわよ』


「いや純和風の茶箪笥になってるし、この部屋で明らかに、異彩を放ってるでござる」


らーん! 今気付いたけど、家の実家にあった茶箪笥じゃないか! 直したんじゃなくてあれじゃ交換だよ!


「ほう、これが桜の世界にある収納棚か。成る程素晴らしい形じゃ……」


 爺いは、なにか感動したような目で、箪笥を見てるけど!


「ごめんなさい。リュイと遊んでたら壊しちゃって、蘭が直してくれました」


 とりあえず素直に謝ろう。


「そのポケットから見える、私のパンツは何でござるか?」


 そんな事が……あるはずが……


「ぱっぱぱパンツ!? あっ蘭! 俺のポケットになんて素晴らしい物、じゃなかった、おパンツをいれるなよ!」


 やばい、蘭めこんな仕打ちをするなんて! せめてもっと奥に入れてくれくれたら良かったのに! ん? 手にはブラが……これはもうやるしかないのか、あのネタを!


「変○仮面参上!」


 ブラを被りパンツを伸ばし、某ヒーローのコスプレをする。コスプレイヤーなら、きっと分かってくれるはず!


「洋一君。━━━━━あの世に行く覚悟はできましたか?」


 ひえっ! 物凄い冷たい視線! 視線で殺される!


「すっすみませんでした! 場を和ませようと!」


「ほう。あれが、桜の世界の仮面戦士か成る程。素晴らしい! 桜あれ儂もやりたいんじゃが、下着を、貸してくれんかの?」


 爺いさんが何故か喜んでる、火に油を注ぐのはやめてくれ。それに貸してくれんかのって、アホか! どんなプレイだ! 変態過ぎるだろ!


 この後、桜さんに思いっきりぶん殴られた。さらに俺と爺いさんは正座をさせられ、ござる口調を忘れた桜さんに長〜い説教をされた。


♢ 王城 謁見の間


「儂がアスベルク王国の王。アスベル・オダじゃ」


「そして俺が、柊洋一だ」


 俺は王様の横でドヤ顔を決める。兵士達が皆んなぽかーんとした顔をして、俺を見ている。


「(洋一、王様の横で何やってんの)」


 あれ? 念話? あーそうか蘭は喋らない気か。アピールは大事だろ? 最初にインパクトを与えたら交渉毎はスムーズだって師匠に聞いたからな。


「(交渉もインパクトもいらないの、桜に任せて)」


「えっとこちらは、柊洋一君と相棒の蘭ちゃん。私と同じ世界出身で訳あって魔獣の森で暮らしてます」


「「「「「えっ」」」」」


 爺さんと兵士達が、凄い目で俺を見てる。視線で、穴が開きそうだ。


「えっと……今回来た目的は「観光!」だそうです」


兵士達が、何故かざわざわしてる。異世界じゃ観光って概念が無いのか?


「桜、ちょっとワシ聞きたいんじゃが、魔獣の森の魔王はどうなったのじゃ?」


「あれは神様の間違いですね。えっと洋一君達は、神級鍛治師のエレンさんと探索者でエルフのレイさんと仲良く暮らしてましたし」


「エレンじゃと! 彼奴儂の依頼をつまらんからやらん。と言って、出て行ったかと思えば魔獣の森で暮らしてたのか」


 エレン爺いさん、つまらんからやらんってこの国的に不敬罪だろ。まあ、多分あの性格じゃ何言っても聞かないからな


「楽しく皆んなで暮らしてるよ、俺は異世界の街とか知らないから観光したいだけだし」


「ふむ……。桜殿と一緒でなら許可しよう。単独行動は控えてくれるとありがたいのじゃが」


「じゃあ観光出来るんだな! サンキュー爺いちゃん。適当にブラブラするわ。夜は桜さんの転移で帰るからあんまり気にしないで良いからな!」


「いやあっまあええか。それなら……」


 爺いさんが、頭を抱えてるがまあ気にしなくていいだろ、これで自由に観光ができる!

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