第30話 忍者? いえ巨乳コスプレイヤーです
ギャース、ギャースと、うるさいアナスタシアを貼り付けにし、結界ギリギリに飾りつけてやった。
「とりあえず畑仕事に行くか」
『この悪魔ー! 人でなしー! ゴミ屑ー!』
それにしても口が悪い奴な。
「お前はもう神気を失った。ただのロリババアだ。有り体に言えば”お前はもう死んでいる”だ」
『ぐぎぎぎぎー! きいー! きいー!』
蘭が、結界の先の木の上を見ている。何かあるのか? 俺の目じゃただの木にしか見えない。
「ねえ洋一、あそこの木の上に忍者のコスプレした人がいる、アナスタシア様の姿を見てめちゃくちゃびっくりしてるけど」
「忍者のコスプレ!? まじか、ヤッベ! 異世界で忍者⁉︎ ひゃっほー! 見に行こうぜ!」
『忍者何て、どーでもいいから私を解放しろー!! ここは地球じゃないのよ! 忍者何ている訳ないでしょ!』
「じゃあ捕獲して、連れてくるよ。行ってくるね」
蘭が忍者コスプレイヤーを捕獲してくれるらしい。忍者かーどんな忍者かなあ、エロいクノイチだといいなあ。露出しまくりがいいなあ。
蘭が目にも留まらぬ速さで、忍者に近付き、そしていつ作成したか謎な、投網を忍者に向かって投げた。
バサっ
「おわっ! なんでござる! 拙者女騎士じゃないでござる! くっ殺何て言わないでござるよー!」
蘭が投網で捕獲した忍者を魔法で引きずってくる。朱色の忍び服かあ、黒で胸元が出てるタイプの服が良かったなー。
「忍者? 本当に忍者? うーんただの少しずれた、コスプレにしか見えない様な……」
「私は、忍術が使えるだけの女ですー!」
「忍者!? まじで? 見せて! 早く早く!」
忍術! 見たい! 見た過ぎる!
「ニシシ良いでござるが、この投網を外して欲しいでござる。何故か、スキルが発動しないから抜けられないでござる…………」
スキル封じの投網、投網じゃなかったらカッコいいのに。
「貴女の目的は? 何故こちらに来たの? 魔王退治?」
大人しくしていたアナスタシアが忍者を指差し発狂し出した。
『あー!! あんた私の転生者! 助けて! お願いそいつが魔王よ!』
「また性懲りもなく……もっと重い罰が必要だな」
「あっ赤髪幼女、捕まったでござるー魔王退治はできないでござるーむねーん」
忍者が物凄く適当にアナスタシアのお願いを断った。あっ蘭が投網を外してるから危険は無いんだな。
『ちょっちょっと! 棒読みじゃない! 普通忍者は囚われし姫を助けるものでしょ!?』
「私女何で、嫌でござる」
『転移スキルもあげたのに! 騙したのね!』
「しらーんでござる。そもそもそこの少年は魔王じゃないでござる、捕まる前に鑑定をしたから間違いないでござる。ニシシ。嘘ついて少年を虐めようって魂胆でしょ? みえみえでござる」
「そうでござーる! 忍者コスプレイヤーさん諸悪の根源はそこの駄女神なんでござーる!」
「洋一、忍者さんの語尾を真似しないの」
ござる口調の地味巨乳何て最高じゃないか! ござる口調俺も使いたい! キャラ立ちしたい!
『異世界人ってこんな奴ばっかなの? 信じらんない!』
「人を騙そうとした癖に凄い言いようでござる」
『うるさいうるさい! 私は女神よ神なのよ!? 何で言う事聞かないのよ!』
こいつ性根が腐ってやがる。
「「神としての品格も威厳も信用も無いから」」
コスプレイヤーとハモってしまった。
『ひえーーん!! あーん!』
とりあえずこいつに構うと話が進まないから放置しよう。
「ところで、コスプレイヤーさん名前は?」
「コスプレイヤーって言わないでほしいでござる。甲賀桜です、貴方は柊洋一君で良いのかな? そっちの鳥さんは鑑定が弾かれたから名前がわからないんでごさるが」
蘭は、鑑定も通さないって言ってたしな。蘭が最初から普通に話かけてるから、警戒する必要もないんだけど。
「私は、神獣の蘭。洋一の家族であり相棒です。宜しくね桜。それで何で態々魔獣の森へ?」
「それはそこの赤髪幼女が、魔王ヒイラギヨーイチを倒せって言ってたからヒイラギヨーイチって明らかに日本名だし同郷かなと。ピーンときたんだよね! 魔獣の森の魔物は強くなっててびっくりしたでござる」
魔獣の森の活性化については黙っておこう。
「なるほど。でも他にも理由があるんでしょ?」
ん? 俺を探しに来ただけじゃないのか?
「ニシシばれましたか。魔王退治って神託は国中に広まってるでござる。だけど、魔獣の森じゃほとんどの兵士が近付けないから実質放置状態。だけど私、今お世話になっている国の人達の事が好きだから……。せめて攻めてこないようにお願いしにきたでござる。実力行使は見ての通り蘭ちゃんに勝てないから無理でござるしね」
儚げに笑う桜。独特な笑い方とござる口調のせいでシリアスな場面の筈なのに全く頭に入って来ない。
「桜ちょっと聞きたいんだけどもしかして神託って他の国にも……」
蘭が不穏な事を言う。
「多分赤髪幼女を信仰している国のトップやらは知ってるんじゃないでござるか?」
「えっ? 俺まさか色々な国中から指名手配的な感じ?」
俺は何処ぞの怪盗じゃないんだぞ!
「そうなるね。はあ、アナスタシア様も厄介な事をしてくれたわね……」
アナスタシアは逃げようともがいている。絶対に逃がさないけどな! 俺を、指名手配犯にした恨み必ずはらす!
「あっそういえば赤髪幼女、一緒にこの世界に来たお爺いちゃんが必ず殺すって言ってたでござるよ。ここに居るのがバレたら殺されるでござるよ」
アナスタシアの顔が真っ青になりガタガタ震え出す。あっあいつ漏らしやがった、くっ臭えええええ!
俺は、鼻をつまみながら
「よし桜さん、そのご老人をここに呼びましょう! こいつは百害あって一利なしですから!」
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